改訂新版 世界大百科事典 「ワルラハ」の意味・わかりやすい解説
ワルラハ
Otto Wallach
生没年:1847-1931
ドイツの有機化学者。ケーニヒスベルクに生まれポツダムで成長。ゲッティンゲン大学でF.ウェーラー,ベルリン大学でA.W.vonホフマンに学ぶ。ボン大学でF.A.ケクレの助手,助教授を経て,1879年教授。のちゲッティンゲン大学教授(1889-1915)。テルペン研究の権威者であり,ケクレが収集して放置していた植物精油にテルペンが含まれることを100を超える論文によって明らかにし,当時混乱状態であったその種類に識別を行うとともに,合成によってそれらの関係を明らかにした。この研究は精油工業の発展をもたらしたばかりでなく,ステロイド化学の基礎ともなった。その功績により,1910年ノーベル化学賞を受賞。
執筆者:岩田 敦子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報