改訂新版 世界大百科事典 「アサヒカズラ」の意味・わかりやすい解説
アサヒカズラ
Antigonon leptopus Hook.et Arn.
メキシコ原産のタデ科の常緑つる性半低木で,熱帯では長さ10~15mにもなる。生垣などによく利用され,coral vine,Confederate vine,corallita,pink vine,mountain roseなどいろいろな英名でも呼ばれている。1917年に日本に渡来し,ニトベカズラの別名もある。茎は細い四稜形で,ややジグザグ状に伸び,折れやすい。葉は互生し,長さ5~10cmの長心臓形で,葉面はしわが多い。茎の先端部葉腋(ようえき)から花茎を伸ばし,10~15花を総状花序につける。花茎の先端は二叉(にさ)状の巻きひげになり,他物に巻きつく。花は直径10~15mmの濃いピンクで美しいが,花弁はなく,5枚の萼片が着色して花弁状になっている。また白花をつける品種(cv.Album)もある。熱帯域では一年中開花し,よく結実し,先のとがった硬い種子をつける。日本では夏に咲く。地下部は多肉状に肥大し,5kg以上になることもあり,食用になる。実生もできるが,普通は挿木でふやす。15℃以上あればいつでもよい。日本では春~秋までは戸外で育てられるが,カイガラムシとハダニが発生しやすい。
執筆者:高林 成年
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報