アドラストス(英語表記)Adrastos

改訂新版 世界大百科事典 「アドラストス」の意味・わかりやすい解説

アドラストス
Adrastos

ギリシア伝説のアルゴス王。アイスキュロス悲劇で名高い〈テーバイ攻めの七将〉の総帥オイディプスの子ポリュネイケスPolyneikēsをその祖国テーバイに王たらしめんと,七将の頭として軍を進めたが,大敗を喫し,彼1人が生還した。10年後,彼は戦死者息子たちを率いて再びテーバイを攻め(エピゴノイ-後裔-の遠征),先の敗戦雪辱をとげたが,みずからの息子を討たれ,悲嘆のうちに世を去った。
テーベ伝説
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アドラストス」の意味・わかりやすい解説

アドラストス
Adrastos

テーベを攻めた7将に率いられるアルゴス軍の総大将として知られるギリシア神話英雄。アルゴス王であった彼は,テーベから亡命してきたオイディプスの子ポリュネイケスを娘のアルゲイアの婿に迎え,彼が兄弟のエテオクレスの手から王位を取戻すのを助けるため,この遠征を起した。しかし結果は無残な失敗に終り,ポリュネイケスをはじめ6人の大将が討死にをとげ,ただアドラストスだけが駿足の神馬アレイオンのおかげで,かろうじて逃げ帰ることができた。 10年後にアドラストスは,エピゴノイと呼ばれる7将の息子たちによって企てられた遠征に参加し,今度はアルゴス勢の大勝利で終ったが,エピゴノイたちのうち,ただ彼自身の息子アイギアレウスだけが戦死したため,帰国の途中で傷心のあまり死んだという。

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世界大百科事典(旧版)内のアドラストスの言及

【アンフィアラオス】より

…ギリシア伝説で,アルゴスの英雄,予言者。義兄のアルゴス王アドラストスがテーバイ攻めを企てたとき,その失敗とみずからの死を予見したアンフィアラオスは従軍に気乗りがしなかったが,妻の要求に負け,2人の子アルクマイオンとアンフィロコスAmphilochosに,いつか母を殺して父の仇を討つよう言い残して出征,大地の裂け目にのまれて世を去った。アッティカ地方のオロポスには,夢占いで名高い彼の神殿があった。…

※「アドラストス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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