アピーズメント・ポリシー(英語表記)appeasement policy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アピーズメント・ポリシー
appeasement policy

宥和政策あるいは緩和政策と訳される。一般的には,ある国が基本的な力関係の現状打破を意図して展開する積極的な対外政策に対して,相手国がきわめて妥協的な政策をもって対応する場合の後者の政策をいう。これによって一時的な安定あるいは平和を確保できるとしても,基本的に新しい力関係が樹立されるまでは前者の対外要求は継続するから,最終的には戦争による現状変更の試みにまで到達せざるをえない。したがって,アピーズメント・ポリシーは結局,失敗に終るか転換を余儀なくされる。具体的あるいは狭義には,第2次世界大戦勃発前の数年間において,イギリスの A.チェンバレンがドイツとイタリアに対してとり続けた妥協的政策をいう。 1935年のドイツの再軍備宣言,イタリアのエチオピア侵略開始,36年のドイツのライン非武装地帯進駐,ドイツとイタリアのスペイン内乱への干渉,38年のドイツのオーストリア併合,ズデーテン進駐などのドイツ,イタリアによる侵略政策が相次いで展開されたが,イギリスはこれを黙認あるいは妥協し,フランスもイギリスに追随し,38年9月の英仏独伊4国のミュンヘン会談でイギリスの対独伊宥和政策は頂点に達した。 39年の第2次世界大戦勃発は,このイギリスの宥和政策の完全な失敗を意味するものであった。

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