改訂新版 世界大百科事典 「アミタール」の意味・わかりやすい解説
アミタール
Amytal
アモバルビタールamobarbitalの商品名で,イソミタールIsomytal(商品名)も同一薬品である。白色の結晶または結晶性の粉末の催眠薬。化学的には5-エチル-5-イソアミルバルビタール酸という。バルビタール酸が合成されたのが1864年で,バルビタールは1903年に合成されたが,アミタールが合成されたのは23年で,アメリカのリリー社により発売された。バルビタール酸系催眠薬のうちで中間持続型に属し,服用後約30分で催眠効果が表れ,4~6時間熟眠する。手術前の不安除去,諸疾患による不眠,不安神経症などに用いる。劇薬であり,常用量は1回30~100mg,1日0.1~0.3g,極量1回0.5g,1日1gである。常用量の5~10倍を服用すると,呼吸麻痺,体温下降,虚脱などが起こる。また連用により薬物依存を生じる。注射剤(ナトリウム塩)は,基礎麻酔や抗痙攣(けいれん)の目的で静脈注射または筋肉注射して用いられる。また,アミタールを静脈注射しての麻酔分析(アミタール面接)にも用いられる。
執筆者:福田 英臣
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報