改訂新版 世界大百科事典 「アラゲウサギ」の意味・わかりやすい解説
アラゲウサギ
hispid hare
Assam rabbit
Caprolagus hispidus
毛が硬く足が短いウサギ目ウサギ科の哺乳類。ヒマラヤ南ろくヒンドスターン平原のゴラクプールからアッサムまで分布。体長48cm,体重2.5kg前後。日本のノウサギ大であるが,後足が10cm未満と著しく短く,目が小さく,耳介が短く(約7cm),つめが強大など,アマミノクロウサギにむしろ似ている。しかし他のすべてのウサギ類と異なり,体の上毛は太い剛毛(荒毛)。下毛は細く軟らかい。上毛は下半分が灰褐色でその先半分が黒く,先端近くに黄白帯があるため体上面は霜降りがある暗褐色を呈する。体下面は淡色。湿地帯の丈の高い草やぶ,竹やぶ,森林などに1匹か1対で穴を掘ってすみ,木の根,樹皮などを食べる。繁殖その他の習性は知られていない。アマミノクロウサギなどが属するムカシウサギ亜科ではなく,ウサギ亜科の一員であるが,その中では最も原始的な種の一つで,生息数が少ないため,IUCN(国際自然保護連合)のRed Data Book(RDB)ではランクE(絶滅の恐れがきわめて強い種)とみなしている。
執筆者:今泉 吉典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報