共同通信ニュース用語解説 「アマミノクロウサギ」の解説
アマミノクロウサギ
鹿児島県の奄美大島と徳之島の固有種で、絶滅危惧種。夜行性で主に山間部に生息。生活用の巣と子育て用の巣を作り、使い分ける。ハブ駆除を目的に放されたフイリマングースによって激減した。近年は交通事故死や野生化した猫による捕食が問題化している。
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鹿児島県の奄美大島と徳之島の固有種で、絶滅危惧種。夜行性で主に山間部に生息。生活用の巣と子育て用の巣を作り、使い分ける。ハブ駆除を目的に放されたフイリマングースによって激減した。近年は交通事故死や野生化した猫による捕食が問題化している。
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ウサギ目ウサギ科中,もっとも原始的な種とされる奄美大島と徳之島特産の哺乳類。体色は上面黒褐色,下面灰白色。生息地の薄暗い林中では全身黒色に見える。体長35~55cm。耳介はウサギ類としては短く,4~4.5cm。カシなどの密林や木を切り倒した跡のカヤ原に生息し,谷川近くの急斜面に,アナウサギの巣穴に似るが,ずっと簡単な造りの巣穴を掘って小群ですむ。日中は巣穴で休み,夜間活動して,植物の葉,茎,樹皮,ドングリ,それにシダ類,ススキなどの芽を食べる。ノウサギに比べ後肢が短く,行動も敏しょうではないが,斜面を登るときはイヌよりも速いといわれ,2mに達するジャンプもできる。奄美大島では夜間林道に出ている姿を見かけることがあり,また,林中からピーッという独特のかん高い鳴声が聞かれる。雌は4~5月または10~12月ころに,通常巣から離れたなだらかな場所に,深さ1~2m,直径10~20cmの出産用の巣穴を掘ってふつう1子,ときに2子を生む。国の特別天然記念物に指定されている。
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
哺乳(ほにゅう)綱ウサギ目ウサギ科の動物。奄美(あまみ)大島と徳之島だけに分布する。1921年(大正10)に動物部門では第一号の国の天然記念物に、また1963年(昭和38)には特別天然記念物に指定された。岩の下や地中に穴を掘ってすむ。夜行性であるが、まれに日中でも森林の茂みで観察されることがある。食物はシダ、ススキ、樹皮などの植物質のものである。飼育下では、奄美にはないリンゴを好んで食べる。10~11月と4~5月の年2回、育児巣の中に、赤裸で閉眼の子を1子、まれに2子産む。雌親と子がいっしょの場合以外は、巣の外で単独で行動する。短い後肢は急峻(きゅうしゅん)な山を登り降りするのに適する。移動するとき甲高い鳴き声を発するのが特徴的である。頭胴長44.5センチメートル。普通のウサギと比べて耳や鼻骨が短く、メキシコウサギやアカウサギとともにムカシウサギ亜科に属する「生きた化石」的存在である。生息数5000と推定されるが、森林破壊などで絶滅が心配される。
[林 良博]
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…ウサギ目ウサギ科ムカシウサギ亜科Palaeolaginaeの哺乳類の総称。始新世後期(約4000万年前)に出現し,漸新世から中新世にかけてアジアと北アメリカで栄え,13属が知られたが,鮮新世末に出現し,洪積世に栄えたウサギ亜科のものに生活の場を奪われてほとんど絶滅し,今日ではアマミノクロウサギPentalagus furnessi(英名Ryukyu rabbit)(イラスト),3種のアカウサギPronolagus(英名red rabbit),およびメキシコウサギRomerolagus diazi(英名volcano rabbit)の3属5種が残存するのみである。いずれも下あごの第3前臼歯(ぜんきゆうし)の構造に著しい特徴がみられ,その歯を咬面(こうめん)から見ると内側と外側から深い切れ込みがあり〈呂〉の字形を呈し,〈コ〉の字形のウサギ亜科のものと異なる。…
…ウサギ目ウサギ科ムカシウサギ亜科Palaeolaginaeの哺乳類の総称。始新世後期(約4000万年前)に出現し,漸新世から中新世にかけてアジアと北アメリカで栄え,13属が知られたが,鮮新世末に出現し,洪積世に栄えたウサギ亜科のものに生活の場を奪われてほとんど絶滅し,今日ではアマミノクロウサギPentalagus furnessi(英名Ryukyu rabbit)(イラスト),3種のアカウサギPronolagus(英名red rabbit),およびメキシコウサギRomerolagus diazi(英名volcano rabbit)の3属5種が残存するのみである。いずれも下あごの第3前臼歯(ぜんきゆうし)の構造に著しい特徴がみられ,その歯を咬面(こうめん)から見ると内側と外側から深い切れ込みがあり〈呂〉の字形を呈し,〈コ〉の字形のウサギ亜科のものと異なる。…
…ウサギ目ウサギ科ムカシウサギ亜科Palaeolaginaeの哺乳類の総称。始新世後期(約4000万年前)に出現し,漸新世から中新世にかけてアジアと北アメリカで栄え,13属が知られたが,鮮新世末に出現し,洪積世に栄えたウサギ亜科のものに生活の場を奪われてほとんど絶滅し,今日ではアマミノクロウサギPentalagus furnessi(英名Ryukyu rabbit)(イラスト),3種のアカウサギPronolagus(英名red rabbit),およびメキシコウサギRomerolagus diazi(英名volcano rabbit)の3属5種が残存するのみである。いずれも下あごの第3前臼歯(ぜんきゆうし)の構造に著しい特徴がみられ,その歯を咬面(こうめん)から見ると内側と外側から深い切れ込みがあり〈呂〉の字形を呈し,〈コ〉の字形のウサギ亜科のものと異なる。…
※「アマミノクロウサギ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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