アルミ覆鋼線(読み)あるみふくこうせん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルミ覆鋼線」の意味・わかりやすい解説

アルミ覆鋼線
あるみふくこうせん

鋼線一種。鋼線の表面にアルミニウムを厚く被覆した線で、製法の違いによりアルモウェルド線alumoweld wire(AW線)とアルミ被鋼線aluminum-clad steel wire(AS線)とがある。AW線はアメリカのカッパーウェルド社が1960年に開発したもので、鋼線の上にアルミニウム粉末を圧縮焼結してある。AS線は日立電線(株)が1961年(昭和36)に開発したもので、鋼線の周囲にアルミニウムを押し出して一体化してある。現在はAW線とAS線を総称してAC線とよぶ。

 アルミ覆鋼線が開発される以前の鋼心アルミ撚(よ)り線(ACSR)は、亜鉛めっき鋼線の外側にアルミ線を撚り合わせているので、海岸地帯の湿度の高い地域では、電極電位の異なる鉄とアルミニウムとの間で雨水などを電解液として接触腐食をおこしやすい欠点をもっていた。これを防ぐため考えられたのがアルミ覆鋼線で、亜鉛めっきの数倍以上の厚さのアルミニウムを被覆してあり、アルミ覆鋼線を用いたACSRは、腐食されやすい場所に適している。

 なお、電線以外にも、架空電線を吊(つ)り下げる鋼線、牧場などの有刺線のほか野球場公園などのネットフェンスなどにも用いられている。

[佐久間照夫・大木義路]

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