イールズ声明(読み)イールズせいめい

改訂新版 世界大百科事典 「イールズ声明」の意味・わかりやすい解説

イールズ声明 (イールズせいめい)

アメリカの占領政策が反共方針を明確にした時期に総司令部民間情報教育局顧問イールズW.C.Eellsが行った演説。イールズは1949年7月19日,大学教授から共産主義者を排除すべきであると新潟大学で演説し,これを皮切りに全国約30大学を巡回した。この演説は占領軍勧告と受け取られ,いくつかの大学で辞職勧告の動きがあらわれたが,南原繁東大総長は学問の自由の立場から反対を表明し,全国大学教授連合も総会で反対を決議した。翌年5月2日の東北大学での講演は学生の反対で中止となり,15日の北海道大学の講演では学生,教職員の質問によって退散せざるをえなくなり,イールズの全国行脚は失敗に終わった。また,5月16日の東京都青年学生決起大会は公然と占領政策を批判するデモ行進を行った。こうして大学の〈レッドパージ〉は阻止された。この事件の直後朝鮮戦争が勃発した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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