改訂新版 世界大百科事典 「エリーザベト」の意味・わかりやすい解説
エリーザベト
Elisabeth
生没年:1207-31
聖女。〈チューリンゲンのエリーザベト〉あるいは〈ハンガリーのエリーザベト〉と呼ぶ。ハンガリー王アンドラーシュ2世の娘で,1221年にチューリンゲンThüringen方伯ルートウィヒ4世と結婚し,出生と婚姻を通して全ヨーロッパにまたがる高位貴族の一員であった。27年に夫が死ぬとマールブルクで半ば修道院のような,俗人の病者看護団体をつくり,貧者,病者のために生涯を捧げた。彼女の禁欲的な生涯は,支配階層が霊的な意味でも貴族でありうる可能性を示し,多くの団体の守護の聖人とされた。祝日は11月19日。
執筆者:阿部 謹也
図像
美術では若い王女,寡婦,または修道女の姿で表現され,持物は病人に施したパンや魚,バラ(病人のためエプロンに隠して持ち出した食物が,とがめる夫の前でバラの花に変わったという《バラの奇跡》の伝説による),冠(三重冠のこともある)である。
執筆者:荒木 成子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報