オルトライト(読み)おるとらいと(英語表記)alt-right

知恵蔵の解説

オルトライト

米国で台頭している過激な右翼・反動勢力。白人至上主義を掲げ、多文化主義やポリティカル・コレクトネス(政治的な正当性・寛容性)、フェミニズムなどを否定。移民やイスラム教徒の排斥を主張する。alternative(略語alt)は、「もう一つの」「新たな選択肢となる」「代わりの」などという意味。
2016年の米・大統領選中、ニュースメディアが採り上げ、ヒラリー・クリントンがトランプの主張をオルトライトの差別思想と批判したことで、大きな話題になった。更にトランプ勝利の直後、オルトライトと自称する極右団体の主宰者リチャード・スペンサー(1978年生まれ)が、「ハイル・トランプ!」などとナチス流の敬礼でトランプを祝福し、国外からも注目を浴びるようになった。旧来の保守と異なり、スペンサーは共和党主流派やネオコンも攻撃し、伝統的なキリスト教の価値観も否定する。現状に不満を持つ白人男性の間で支持は広がっているものの、確固たる理念を持った政治組織に発展するまでには至っていない。支援者や同調者の活動も、ネット掲示板やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での扇動的な投稿が中心で、その主張もまとまりに欠ける。
保守系ネットメディア「Breitbart News」を主宰してきたスティーブン・バノン(1953年生まれ)も、オルトライトの主導者として知られる。バノンはトランプの選挙対策責任者を務め、新政権が発足すると首席戦略官・上級顧問に任命された。イスラム7カ国からの入国禁止、移民の入国制限などの大統領令を始め、トランプ政権の主要政策を推し進め、「影の大統領」などといわれた。しかし17年4月に一転、トランプがバノンの更迭を示唆。国家安全保障会議(NSC)の常任メンバーから外された。クシュナー上級顧問(トランプの娘婿)との確執を始め、様々な憶測が飛び交ったが、今後の政策決定にオルトライトの影が薄れるのは必至という見方が強まっている。

(大迫秀樹 フリー編集者/2017年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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