出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
腎臓の本態は糸球体とそれに続く
急性糸球体腎炎は、何らかの感染症が原因で、糸球体に炎症を起こした状態です。感染が治癒すると腎炎も治ります。
血液を濾過する糸球体は、いわば網目の細かいざるのようなものです。ここに炎症が生じると網目が目詰まりし、血液の濾過ができなくなり、尿の産生が減少(
また、傷ついた糸球体から、普通は尿に出ないはずの蛋白や赤血球・白血球がもれ出て、蛋白尿や血尿になります。
溶連菌の感染が起こると、生体は防御するための免疫反応として、溶連菌成分に対する抗体を産生します。その抗体と溶連菌成分が結合した複合物(抗原抗体複合物)が、血流にのって腎の糸球体に運ばれて網目にひっかかり、炎症が引き起こされます。そこでは、もう1つの免疫成分である
溶連菌の初感染を起こす4~12歳の小児に多い疾患です。以前は頻度の高い腎炎で、集団発生もありました。しかし、衛生環境がよくなり、溶連菌感染に対して早期に抗生剤が投与されるため、最近では非常に減少し軽症化しています。
多くは咽頭炎・扁桃炎などの上気道炎から、1~2週間(平均10日)の潜伏期をおいて、突然に血尿・蛋白尿、乏尿、浮腫、高血圧などの症状で発症します。目で見てわかる血尿(肉眼的血尿)は30%ですが、検査でわかる血尿は全例にみられます。むくみは顔面、とくにまぶたのむくみに起床時に気づくことがよくあります。血圧は高血圧(収縮期血圧140㎜Hg、拡張期血圧90㎜Hg)に達しなくても、ほとんどが通常の血圧より上昇します。極期(症状のピーク)を過ぎて再び尿が出始めると、これらの症状は急速に改善します。
溶連菌の感染があり、2週間の潜伏期の後に血尿が出現し、さらに、補体の低下が認められれば急性糸球体腎炎と診断してほぼ間違いありません。(詳細はコラム)
自然に軽快する疾患ですので、治療は症状の軽減と合併症の予防、腎臓の保護が基本です。保温と安静を守り、腎臓に流れる血流を減らさないようにします。次に食事療法ですが、塩分と蛋白質は腎臓に負担をかけるので制限します。制限の程度は、腎障害の程度によります。水分も過剰でむくんでいますので、1日の水分量を尿量+800ml(汗や呼吸で排泄される水分)以下にします。摂取量より排泄量が多くなるようバランスをとらないと、改善しないからです。尿が極端に少ない場合は、カリウム含有量の多い生野菜、果物、芋類も制限が必要になります。利尿薬で尿量の確保に努めますが、反応が悪いと一時的に
腎炎の発症時に溶連菌の残存は少ないのですが、残っていた場合に経過を悪くする可能性と、他の人への感染予防の目的で抗生剤を投与します。高血圧に対しては各種の降圧薬が用いられます。
一般に、1~2週間で回復に向かうと尿量が増加し、症状は急速に改善します。小児の予後は極めて良好で、ほとんどが治癒します。成人では30~50%に、何らかの異常が
自覚症状として多いものは、血尿、むくみ、血圧上昇、尿量減少などです。これらは他の経過のよくない腎炎や
鈴木 重伸
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
…現在,単に腎炎というときには急性または慢性の糸球体腎炎glomerulonephritisをさすが,とくに慢性糸球体腎炎についての分類は,いまだ十分確立されたものではなく,今後病因が明らかにされるにつれて再編成されることも考えられている。
[急性糸球体腎炎]
単に急性腎炎ともいう。両側の腎臓の糸球体に起こる急性の非化膿性の炎症性病変で,溶連菌感染後に起こるものとそれ以外のものに大別される。…
※「急性糸球体腎炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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