カイラーサナータ寺(読み)カイラーサナータじ(その他表記)Kailāsanāta Temple

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カイラーサナータ寺」の意味・わかりやすい解説

カイラーサナータ寺
カイラーサナータじ
Kailāsanāta Temple

ヒマラヤ山脈カイラーサ山に住むというシバ神カイラーサナータをまつるヒンドゥー教寺院。インドエローラカーンチプラムに代表的実例が見られる。エローラ石窟の第16窟にあたるカイラーサナータ寺は,ラーシュトラクータ朝ダンティドゥルガが 8世紀前半に造営したもので,山裾の天然の岩から全体を彫り上げており,正面から重層楼門,ナンディン牛祠堂(→ナンディー),拝殿本殿と続き,屋根はピラミッド状を呈する。全体の規模は横幅 53m,奥行 90m,高さ 33mに及ぶ。(→ドラビダ型建築

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世界大百科事典(旧版)内のカイラーサナータ寺の言及

【インド美術】より

…中間型は南北両型を折衷したもので,カルナータカ州のホイサラ朝の寺院などに見られ,数は少ない。ヒンドゥー教も石窟を造営し,その一変形である岩石寺院は岩山を削って造ったいわば寺院全体を巨大な彫刻としたもので,エローラのカイラーサナータ寺がその代表例である。 インドにイスラムが影響を及ぼし始めるのは8世紀初期であるが,その建築は12世紀に本格化し,イスラムの浸透とともに各地に広まり,インドの伝統建築の影響を受けて多くの地方様式を展開させた。…

【エローラ】より

…第13~29窟および丘の上の番号のない20以上の小窟はヒンドゥー教に属し,主要なものは7~9世紀,小窟はさらに後の開掘である。その中心をなす第16窟カイラーサナータ寺は,パッタダカルのビルーパークシャ寺Virūpākṣaを模したラーシュトラクータ朝盛期(8~9世紀)の岩石寺院で,幅45m強,奥行き85m弱にわたって岩山を削り取り,楼門,ナンディン牛堂,前殿,本殿(高さ約30m)を彫り出し,しかも周囲の岩壁に回廊や付属の石窟を掘っていて,その規模の点でも彫刻の作柄の点でも他に比類がない(図2)。このほかでは簡素な第14窟,重層の第15窟,壮麗な第21窟,広大な第29窟などが重要である。…

【カーンチープラム】より

…古くはパッラバ朝の都として栄え,現在ではサリーをはじめとする絹織物の名産地としても知られている。市内には多数のヒンドゥー教寺院があり,最も古いカイラーサナータ寺(8世紀初期)は南型建築の典型で,重層ピラミッド形の本殿と多数の柱をもつ前殿とからなる主建築を,内側に数十の小祠のある寺壁が囲み,正面に低い楼門が建つ。本殿外壁や小祠堂前面には多数の彫刻がある。…

※「カイラーサナータ寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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