日本大百科全書(ニッポニカ) 「カオヤンロウ」の意味・わかりやすい解説
カオヤンロウ
かおやんろう / 烤羊肉
ジンギスカン料理ともいう。羊肉(ヤンロウ)を薄く大きく切り、漬け汁(おろしにんにく・しょうが、酒、しょうゆ、蝦油(シャーユー)などを混ぜたもの)に約20分間漬けておく。これを金網にのせて、軽く両面を焼きながら熱いところを、好みの薬味を用いて食べる。この料理は、蒙古(もうこ)の覇者ジンギス・カン(チンギス・ハン)が、雪原の戦に軍勢を鼓舞するために、野外で羊肉を焙(あぶ)り焼きにして食べさせたという伝説にちなんで、日本でジンギスカン料理とよばれている。この料理のために特殊な鉄板や鍋(なべ)が市販されており、家庭の庭先などでも容易に食べられる。材料も羊肉に限らず牛肉、イカ、生シイタケ、ピーマンなど、他の肉類や季節の野菜を適宜に取り入れている。薬味類も好みで添加し、近代的な趣向も加えられている。蝦油を用いると羊肉の臭みが消される。かわりにアミの塩辛を少々用いてもよい。これは野外料理であって、屋内の卓料理ではない。本来は羊肉であるが、牛肉の場合も同じ取扱いでよい。豚肉は寄生虫の懸念があるのでこの料理には不適当であるが、使用するときは十分加熱しなければならない。
[野村万千代]