アミ(読み)あみ(英語表記)mysid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アミ」の意味・わかりやすい解説

アミ
あみ / 醤蝦
mysid

節足動物門甲殻綱アミ目に属する水生小動物の総称。イサザあるいはコマセとよぶ地方もある。体長深海種のなかには10センチメートル以上に達するものもあるが、一般には1センチメートル内外である。元来はすべて海産であるが、海跡湖沼には淡水や汽水に適応した種が少数ながら知られている。沿岸、沖合い、浅海、深海など、あらゆる海洋環境に約750種が記録されているが、近年でも新種の記載が相次いでいる。日本近海からは約150種が知られており、そのうち淡水ないし汽水産のイサザアミNeomysis intermediaやニホンイサザアミN. japonicaなどのほか、海産のコマセアミAnisomysis ijimaiなども漁獲対象とされ、佃煮(つくだに)、塩辛(しおから)、飼料などにされるほか、釣りの撒き餌(まきえ)に利用される。また、自然界では魚類の天然餌料(じりょう)として重要な存在である。

 体形はエビ類によく似ているが、頭胸甲は第3胸節以降では胸節と融着しないこと、8対の胸脚は内外の両肢(あし)に分かれ、そのうち第1、第2対の内肢顎脚(がっきゃく)に変形していること、尾肢(びし)の内肢に平衡胞をもつこと、雌は胸部の腹側に保育嚢(ほいくのう)をもつことなどによって区別される。卵は成体とほぼ同じ形態になるまで保育嚢中で発育し、母体が脱皮すると同時に外界に出て自由生活をする。保育期間は種類によって異なるが、温水性の種で4~5日、冷水性の種で2~3か月である。保育嚢を出て完全に成長するには1~数か月かかり、各体節の比率や形状、棘(きょく)数など成長の変化が多く、分類に際して注意が必要である。寿命暖海のものでは数か月から1年、寒海や深海のものでは1.5~2年あるいはそれ以上と考えられる。

[武田正倫]


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