カンビュセス2世(その他表記)Kambysēs Ⅱ

改訂新版 世界大百科事典 「カンビュセス2世」の意味・わかりやすい解説

カンビュセス[2世]
Kambysēs Ⅱ

ペルシア帝国第2代の王。在位,前530-前522年。キュロス2世の長子で皇太子の時にバビロン王をつとめた。前525年にはエジプトを征服し,オリエント古代世界の統一を実現した。彼はさらにヌビアに進軍したが,そのあいだにエジプトに反乱が起こった。遠征を中止してもどったカンビュセスははげしい弾圧をおこない,反乱に荷担した神官が属する神殿の破壊を命じた。前522年にマゴス祭司ガウマータが王弟バルディヤと偽って王位奪(さんだつ)した事件が起こり,本国に帰る途中,シリアで没した。父キュロス2世とは異なり,最初から帝国支配者として王位についた彼は,その伝統を無視した行動によって,専制君主としておそれられた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「カンビュセス2世」の解説

カンビュセス2世(カンビュセスにせい)
Kanbyses Ⅱ

(在位前530~前522)

アケメネス朝の第2代王。キュロス2世の子。前525年にエジプトを征服し,エジプト第27王朝を開いた。エチオピア遠征まで試みエーゲ海からインド洋までの支配者となったが,エジプトから帰国の途上没した。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のカンビュセス2世の言及

【エジプト】より

ネコ(ネカウ)2世は,アッシリア再興のため援軍を送るが,前605年カルケミシュの会戦で新バビロニア王ネブカドネザル2世の軍に大敗し,以後アジアへの野心を放棄する。オリエント世界を統一したアケメネス朝ペルシアのキュロス2世(大王)の子カンビュセス2世は前525年エジプトを征服(第27王朝),第28~30王朝の下で一時的に独立を回復するが,再びペルシア帝国に併合され(第31王朝),前332年アレクサンドロス大王に征服される。相次ぐ異民族支配の下でエジプト文明はますます神殿と神官の手で担われていくことになる。…

【バビロニア】より


[アケメネス朝ペルシア時代]
 アケメネス朝ペルシアによるバビロニア支配は,都市の破壊や生活の混乱もなく始まった。初めはナボニドス時代の武将に支配がゆだねられるが,まもなくカンビュセス2世(前530‐前522)の支配するところとなる。カンビュセスの死後ペルシアでクーデタが勃発したのを機に,バビロニアは2度反乱を起こしたが,いずれも失敗した。…

【ペルシア帝国】より

…第2は遊放民の侵入に対する北東イラン辺境の防衛であり,そのためキュロスは中央アジアに遠征し,最後にサカ系遊牧民マッサゲタイと戦って没した。彼の後を継いだカンビュセス2世は,前525年にエジプトを占領して古代オリエント世界の統一を実現した。前522年にマゴス祭司ガウマータGaumātaによる王位簒奪事件が起こり,帰国の途中でカンビュセスが亡くなると,アケメネス一族のダレイオス1世がガウマータを倒して王位に就いた。…

※「カンビュセス2世」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android