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ガストロノミー gastronomy

翻訳|gastronomy

知恵蔵の解説

ガストロノミー

料理という言葉が食材を調理する方法を指すのに対し、料理を中心として芸術、歴史、科学、社会学などさまざまな文化的要素を考える総合的な学問。文化と料理の関係を考察すること。美食学や美味学などと訳され、生理的のみならず精神的にも意義を持つ食の営みを研究し、おいしさを作り出す技術を、理論で裏付ける。
「ガストロノミー」という言葉は、古代ギリシャ語の「ガストロス(消化器)」と、「ノモス(学問)」が語源とされる。ガストロノミーの考え方を最初に示したのは18世紀後半から19世紀前半にかけてフランスで法律家・政治家として活動したジャン・アンテルム・ブリア=サバランである。
ブリア=サバランは当時、美食家として知られ、その見識を『美味礼讃』に記した。邦題は「味覚の生理学、或いは、超越的ガストロノミーをめぐる瞑想録」であり、副題は「文科学の会員である一教授によりパリの食通たちに捧げられる理論的、歴史的、時事的著述」となっている。『美味礼讃』は従来の料理本とは異なり、食事にまつわる事柄に哲学的考察を進める随筆集となっている。ブリア=サバランは化学、医学を修めた経験もあり、著書は食を多方面からとらえた内容。
「ガストロノミー」を掲げた活動としては、日本では2011年3月、国際アカデミー・オブ・ガストロノミー名誉会長らが来日して「日本ガストロノミー学会」が設立され、12年にパリで行われた国際アカデミー総会にて同学会がアジア初の参加国として正式に承認されている。同学会は、国際社会における日本食の伝統を守り、普及啓蒙及び活性化を推進することを目的としている。
また、辻調理師専門学校は、16年に採択された内閣府「クールジャパン拠点連携実証調査」の一環として、日本の食の未来ビジョン(行動規範)となる「ガストロノミーマニフェスト」を策定した。日本における食文化産業振興に向けた提言書として、このマニフェストに賛同する食関連企業や地域、教育機関と連携し、食文化産業の発展に寄与するとともに、食分野における日本の国際的発信力、発展力強化を目指している。
ガストロノミーに関連した語としては、食に関する伝統や文化は地域に根ざしたものであることを踏まえ、体験型のガストロノミーを目玉とする食と観光を結びつけた旅を「ガストロノミーツーリズム」、調理とガストロノミーへの科学の応用は「分子ガストロノミー」などがある。

(若林朋子 ライター/2017年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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