日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ギリェン(Jorge Guillén)
ぎりぇん
Jorge Guillén
(1893―1984)
スペインの詩人。バリャドリードに生まれる。国内と英仏の大学で文学を講じる。1938年内戦時、アメリカに亡命。77年帰国。1950年までの作品は『詩集(カンテイコ)』にまとめられ、第4版を数えるが、各版ごとに新たな作品が加えられ、全体が彼のいう有機的統一体を示す。ロマン主義的情緒や装飾的要素を排除する透明なイメージで、彼は現実を凝視し、生きる喜びと生命の輝きを歌う。『叫び――歴史の時』(1957~63)は対照的に時代の証言者として内乱の悲惨と恐怖を告発するが、基本的には人間に対する信頼に裏打ちされている。そのほか『献辞』(1967)、評論集『言語と詩』(1962)など。1977年度セルバンテス賞受賞。
[有本紀明]
『『世界の文学37 現代詩集』(1979・集英社)』