クリューエフ(その他表記)Nikolai Alekseevich Klyuev

改訂新版 世界大百科事典 「クリューエフ」の意味・わかりやすい解説

クリューエフ
Nikolai Alekseevich Klyuev
生没年:1887-1937

ロシアソ連邦詩人。分離派教徒の農民の出身。16歳で隠舎に出入りし分離派教徒の宗教歌などを作詞。知識人を軽蔑しながらも彼自身知識人となり,農民を神格化し,神ながらの道を生きているロシア農民の楽園夢想シンボリズムの最右翼としてメレシコフスキー夫人のギッピウスとつながり,従来の写実一辺倒の農村詩のあり方を,神秘的・宗教的内容で一変させた。この新農民詩の提唱は初期のエセーニンに影響を与えた。詩集には宗教化された自然を賛美した《松の木の全鐘音》(1912)や《森の実話》(1913),《第4のローマ》(1922)などがある。1930年代初め,反動詩人としてシベリアへ追放された。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クリューエフ」の意味・わかりやすい解説

クリューエフ
くりゅーえふ
Николай Алексеевич Клюев/Nikolay Alekseevich Klyuev
(1887―1937)

ロシアの詩人。農家に生まれ、ロシアを放浪。詩集『松の木の全鐘音』(1912)、『同朋(どうぼう)の歌』(1912)などで、分離派教徒の宗教詩、フォークロア形式を取り入れ、農村ロシアを甘美に賛歌した。シンボリズムを経て新農民詩を唱え、初期のエセーニンほか農民詩人に影響を与えた。十月革命を歓迎しつつも未来のロシアに幻滅した。詩集はほかに『森の実話』(1913)、『第四のローマ』(1922)などがある。ソ連時代の1930年代初め、反動詩人としてシベリアに追放された。

工藤正広

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