改訂新版 世界大百科事典 「クロチク」の意味・わかりやすい解説
クロチク (黒竹)
black bamboo
Phyllostachys nigra Munro
イネ科のタケ類の1種。稈(かん)の黒色は珍しく,人の目をひきつける。中型で,分布は各地にわたるが,主産地は高知県中土佐町久礼と和歌山県日高町である。中国や台湾にも産する。ハチクの仲間であり,多分同種内の変異と考えられる。稈の色が生えたては緑色であるが,秋ごろからメラニン色素が増えて黒色に変わる。色の濃淡や変り方は,立地によって違い,日当りのよい乾燥地では鮮やかな黒色となる。稈のたわみぐあいがよいので釣りざおに用い,また工芸品の素材とする。また庭に植えつけたり盆栽に愛用する。大きいものは高さ7mとなる。先を切らずに小型の優美なタケとするには,古竹を切るとき大きいものを切り小さいものを残すようにすると,小さい若竹が出るようになる。
メグロチクcv.Megurochikuは芽のついた溝だけが紫黒色,他の部分は緑色または黄緑色のタケである。
執筆者:上田 弘一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報