ハチク(読み)はちく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハチク」の意味・わかりやすい解説

ハチク
はちく / 淡竹
[学] Phyllostachys nigra (Lodd.) Munro var. henonis (Bean) Stapf

イネ科(APG分類:イネ科)のタケ・ササ類。高さ20メートル、径約10センチメートルに達する。節は2環があり、その点でマダケと同じであるが、マダケは稈(かん)面が濃緑色であるのに対し、ハチクは帯白色または灰緑色である。そのため淡竹(はちく)の名がついた。タケノコの皮は淡桃色で長い毛を散生し、マダケのような黒い斑紋(はんもん)はない。葉は披針(ひしん)形で長さ9~13センチメートル、幅約1.5センチメートル。肩毛(かたげ)(葉鞘(ようしょう)の上縁の毛)は、ほぼ直立する。古く中国から渡来し、北海道南部から沖縄で広く栽培される。稈は強く、とくに細割りがきくので、茶筅(ちゃせん)や提灯(ちょうちん)の骨の材料とする。母種クロチクは稈は初め緑色で、2~3年後に黒紫色に変わる。

[鈴木貞雄 2019年9月17日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハチク」の意味・わかりやすい解説

ハチク(淡竹)
ハチク
Phyllostachys nigra var. henonis

イネ科の多年草常緑のタケ類の一つで,古く中国から渡来し,全体が繊細なため観賞用に広く一般に栽培されている。稈は地中をはっている根茎から直立し,高さ 10m,径 10cmになり大型である。節があり,中空円筒形。葉は多数の小枝の先に4~5片つき,披針形。洋紙質で上面緑色,下面やや白色を帯びる。たけのこは皮幅が広く大型革質で紫色。美味とされる。花穂は枝先に束状に密生し,紫色の毛がある。花は披針形でまれに開花する。稈は質が緻密で割り細工に適し,茶せんなどや工芸品に使われる。クレタケ (呉竹) ,カラタケ (唐竹) ともいう。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android