クローニン(Archibald Joseph Cronin)(読み)くろーにん(英語表記)Archibald Joseph Cronin

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

クローニン(Archibald Joseph Cronin)
くろーにん
Archibald Joseph Cronin
(1896―1981)

イギリスの小説家。スコットランド生まれ。グラスゴー大学医学部在学中、第一次世界大戦に軍医として従軍、卒業後、南ウェールズの炭鉱地帯で医業につき、ロンドンで開業した。しかし過労がたたって健康を害し、静養中に試みた小説『帽子屋の城』(1931)が大成功を収め、これを機会に創作に転じた。この作品では徹底したエゴイストを、第二作『三つの愛』(1932)では破壊的な愛を描いている。ベネットモームの伝統に沿った力強い性格描写と筋のおもしろさとで、次々とベストセラーを世に送ったが、『城塞(じょうさい)』(1937)、『育ちゆく年』(1944)など、逆境に置かれた若い主人公が人生の難関を乗り越えて成長していく教養小説的主題の作品が多い。

[安達美代子]

『竹内道之助訳『クローニン全集』全22巻(1973・三笠書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例