ケトエノール互変異性(読み)ケトエノールごへんいせい(英語表記)keto-enol tautomerism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケトエノール互変異性」の意味・わかりやすい解説

ケトエノール互変異性
ケトエノールごへんいせい
keto-enol tautomerism

カルボニル基に対してα位にある炭素原子に結合している水素原子が,カルボニル基の酸素原子に転位して,水酸基をもつ化合物に変化することをケトエノール転位という。このようにして生成する化合物をエノール形化合物というのに対して,もとのカルボニル化合物ケト形化合物といい,両者は互いにケトエノール異性体であるという。たとえばアセト酢酸エステルは次のようなケトエノール異性体の混合物であり,その割合は溶媒,温度などにより変化する。また,希薄なアルカリで相互変換し,一定の温度で平衡が成立する。

CH3COCH2CO2C2H5⇔CH3C(OH)=CHCO2C2H5

このようにケトエノール異性体は互いに変りうる。この現象をケトエノール互変異性という。アセト酢酸エステルの2つの異性体は低温で石英フラスコを用いて注意して蒸留することによって分離される。ケト形,エノール形の融点はそれぞれ-39℃,-78℃であり,エノール形はケト形よりはるかに速く臭素,塩化第二鉄と反応する。 (→互変異性 )

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「ケトエノール互変異性」の意味・わかりやすい解説

ケト・エノール互変異性 (ケトエノールごへんいせい)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android