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互変異性 ごへんいせいtautomerism

翻訳|tautomerism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

互変異性
ごへんいせい
tautomerism

化合物が2種の異性体として存在し,それぞれの分子内の原子の結合位置が異なっている異性現象。構造異性に属するとも考えられるが,異性体間のエネルギー差が小さく,室温で容易に相互に変換するため各異性体を分離することが困難である。水素原子の移動によって異性体間の変換が起る場合が多く,注意して精製すれば2種の異性体を分離することができる。互変異性と混同されやすいものに共鳴があるが,これとは本質的に異なる。また互変異性は原子が結合を離れて移動し,異なった結合の仕方をするという点で回転異性とは異なる。回転異性体は一般に異性体間のエネルギー差がさらに小さく,相互分離が不可能である。最もよく知られている互変異性にアセト酢酸エステルにみられるようなケトエノール互変異性があるが,ほかに環鎖互変異性および核内互変異性がある。

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百科事典マイペディアの解説

互変異性【ごへんいせい】

ある化合物が互いに変換することのできる2種の異性体として存在する現象。たとえばアセト酢酸エチルはケト型とエノール型の平衡混合物であって,双方はたやすく変換し合い,反応するときは相手に応じてそのいずれかで反応する(ケト・エノール互変異性)。(図)
→関連項目アセト酢酸エチル異性

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世界大百科事典 第2版の解説

ごへんいせい【互変異性 tautomerism】

構造異性体間のエネルギー差が小さく,相互変換が原子または原子団(おもにプロトン)の移動をともなって起こるとき,これらを互変異性体といい,この現象を互変異性トートメリー,ケト・エノール互変異性などという。アセト酢酸エチルとよばれている化合物は1863年に発見されたが,この化合物の性質に関するいくつかの報告は必ずしも一致しなかった。その原因はこの化合物が二つの構造の平衡状態にあることがしだいに明らかとなった。

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大辞林 第三版の解説

ごへんいせい【互変異性】

二つ以上の異性体が容易に相互変化し、それらの異性体が平衡を保って存在している現象。例えば、アセト酢酸エチルのケト形とエノール形など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

互変異性
ごへんいせい
tautomerism

一つの化合物が容易に一方から他に相互変換しうる2種以上の異性体として存在する現象。トートメリーともいう。この種の異性体を互変異性体といい、速やかに相互変換しているので、一方だけを分けて取り出すことはむずかしい。ほとんどすべての場合に水素原子の結合位置が異なる異性体である。互変異性としてもっともよく知られているのはケト‐エノール互変異性であり、β(ベータ)-ジカルボニル化合物に広くみられる。たとえば、アセト酢酸エチルはケト形とエノール形の平衡混合物であり、相互に容易に変換し、両方の形の反応性を示す。

すなわち、ケト形はケトンのカルボニル基をもつのでオキシムやフェニルヒドラゾンを生成し、他方エノール形は炭素‐炭素二重結合(C=C)をもつので臭素の付加反応がおこる。また、エノール形のヒドロキシ基(水酸基)は塩化鉄()による呈色反応を行う。
 このほかに、2-ヒドロキシピリジンも2-ピリドンと互変異性体の関係にある。

この種の互変異性体は核酸塩基にもみられ、生体中でも重要な役割を演じている。[廣田 穰]

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世界大百科事典内の互変異性の言及

【構造異性】より

…プロピルアルコールの-OH基の位置による二つの異性体,キシレンの-CH3基の位置による三つの異性体がよく知られた例である。互変異性tautomerismとは化合物の一部(原子または原子団)の移動が低いエネルギー障壁で起こる結果生じる異性で,プロトンHが移動する場合が多い。原子価異性valence tautomerismでは,二つの異性体は結合電子の一部の再配列によって相互変換できる。…

【構造異性】より

…プロピルアルコールの-OH基の位置による二つの異性体,キシレンの-CH3基の位置による三つの異性体がよく知られた例である。互変異性tautomerismとは化合物の一部(原子または原子団)の移動が低いエネルギー障壁で起こる結果生じる異性で,プロトンHが移動する場合が多い。原子価異性valence tautomerismでは,二つの異性体は結合電子の一部の再配列によって相互変換できる。…

※「互変異性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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