ゲタ人(読み)ゲタじん(その他表記)Getai

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゲタ人」の意味・わかりやすい解説

ゲタ人
ゲタじん
Getai

トラキア地方に興った古代の民族。ドナウ川下流域を中心に,北は遠く南ロシアまで勢力を伸ばしていた。この民族の名が初めて文献にみられたのはヘロドトスの記述で,前 513年頃アケメネス朝ペルシアのダレイオス1世スキタイの地域に侵攻した個所であるが,ツキジデスも,マケドニアフィリッポス2世のトラキア侵入の個所で言及している。前 335年にはアレクサンドロス3世 (大王)が,ドナウ川を越えてゲタの地域に入り,その首都を焼払ったが,前 326年頃にはゲタ人討伐中のマケドニアのトラキア総督が彼らに殺害されている。ゲタ人はスキタイの影響を受け,勇敢な騎馬の射手として知られたが,前3世紀末頃から周辺諸族の侵入によって次第にその軍事力を弱化させ,やがて,ローマの属州となった。紀元後まもなくその名は史上から消えた。のちにゴート族をゲタ人と称する記述もみられるが,両者はまったく無関係である。

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