サーモトロピック液晶(読み)サーモトロピックエキショウ

化学辞典 第2版 「サーモトロピック液晶」の解説

サーモトロピック液晶
サーモトロピックエキショウ
thermotropic liquid crystal

結晶の温度を上げていくときに,融点と透明点の間に現れる液晶状態.濁った粘ちゅうな流動性のある外観を示し,多くの液晶相があり,ネマチック液晶スメクチック液晶コレステリック液晶などが知られている.一つの物質が温度範囲によって異なる液晶状態を示すこともある.光学的異方性(複屈折)があり,偏光顕微鏡で観察すると,シュリーレンモザイク,フォーカルコニックなど,種々の模様が見られる.温度,磁場,電場,圧力,不純物などの影響で分子配列配向が変化するので,各種の液晶ディスプレイセンサーなどに応用されている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のサーモトロピック液晶の言及

【液晶】より

…これに対して液晶では,それを構成する分子がある方向では規則性をもって並び,光学的性質などに異方性を示すが,また柔軟性や流動性などの液体としての性質ももっている。 液晶は,液晶相となる条件から,ある温度範囲で液晶となるサーモトロピック液晶thermotropic liquid crystalと,水やその他の極性溶媒と混合した状態で液晶となるリオトロピック液晶lyotropic liquid crystalとに分類される。前者では,温度を上げていくと固体(結晶)→液晶→通常液体→気体へと変化し,後者では溶媒の量を増していくと,固体→液晶→通常液体という変化を示す。…

※「サーモトロピック液晶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」