ザルカーリー(読み)ざるかーりー(英語表記)Abū Isa Ibrāhīm ibn Yayā al-Naqqāsh al-Zarqālī

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ザルカーリー」の意味・わかりやすい解説

ザルカーリー
ざるかーりー
Abū Isa Ibrāhīm ibn Yayā al-Naqqāsh al-Zarqālī
(1029?―1087?)

スペインで活躍したイスラムの優れた天文観測家。コルドバ出身。ラテン名はアルザケルArzachelという。観察器具アストロラーベ新種平面を意味するサフィハsafīa)を考案し、その解説はラテン語、ヘブライ語その他に翻訳された。恒星に関する太陽の遠地点運動をはっきり証明した最初の人である。だがその計算は間違っており(正しくは12度4分)、その間違いは黄道傾斜と比較しての計算でさらにひどくなった。彼の多数の観測は、いわゆる『トレド表』を編集するために利用されたが、この表には、彼の観測のほか、トレド在住のイスラム系やユダヤ系の天文観測家たちの成果も使われたらしい。表の序文には彼の精細な三角法の解説がある。この表もラテン語に翻訳された。

平田 寛]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ザルカーリー」の意味・わかりやすい解説

ザルカーリー
al-Zarqālī

[生]1029頃
[没]1087頃
スペインの天文学者イスラム教徒。ラテン名はアルザケル Arzachel。天体観測記録『トレド天文表』の製作者として有名。サフィーハと呼ばれる新しい天体観測器具の発明などがある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android