シッフ試薬(読み)シッフしやく(その他表記)Schiff's reagent

改訂新版 世界大百科事典 「シッフ試薬」の意味・わかりやすい解説

シッフ試薬 (シッフしやく)
Schiff's reagent

フクシンアルデヒド試薬ともいう。アルデヒドRCHOの検出用試薬の一つ。塩基性染料としても知られる桃色p-フクシン(p-ローザニリン,p-マゼンタともいう)の0.1%水溶液に亜硫酸ガスSO2を飽和させて調製した無色溶液。ドイツの化学者H.シッフが発見した。この試薬にアルデヒドを加えて振ると,紫色色素を生ずる。一般のアルデヒドに対してはきわめて鋭敏な呈色反応(確認限度0.001%)であるが,ケトンはこの反応を起こさない。発色の機構としては諸説あるが,キノイド構造をとるときに呈色するものと考えられる。


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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

化学辞典 第2版 「シッフ試薬」の解説

シッフ試薬
シッフシヤク
Schiff's reagent

フクシンアルデヒド試薬(fuchsin-aldehyde reagent)ともいう.ドイツの有機化学者H. Schiffによって創案された.アルデヒドの検出試薬として有名であり,アルデヒドとケトンを判別する目的で用いられることが多い.フクシン0.2 g を水200 mL溶解,これに亜硫酸15 mL を加えて一夜放置すると,脱色されて無色になる.この試薬1滴をアルデヒドの検液に加えて振ると,室温で反応して赤紫色を呈する.しかし,ケトンはこの反応がみられない.この反応はアルデヒドに対しては鋭敏な呈色反応である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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