改訂新版 世界大百科事典 「シンプソンの公式」の意味・わかりやすい解説
シンプソンの公式 (シンプソンのこうしき)
Simpson's rule
定積分の近似計算のために次のようにして作られた公式である。区間[a,b]を2n等分した分点をa=x0,x1,x2,……,x2n=bとし,それらに対応するf(x)の値をy0,y1,y2,……,y2nとする。n個の小区間[x0,x2],[x2,x4],……,[x2n-2,x2n]において,関数y=f(x)を,それぞれ図におけるf(x)のグラフ上の3点{P0,P1,P2},{P2,P3,P4},……,{P2n-2,P2n-1,P2n}を通る放物線をグラフとする二次関数で置き換え,
h=\(\frac{b-a}{2n}\)
とすると,各小区間における二次関数の積分の値はそれぞれ
となるから,これらを加えて次の近似公式が得られる。これをシンプソンの公式という。
例えばを計算するために,区間[0,1]を10等分すると,n=5,h=0.1,x0=0,x1=0.1,x2=0.2,……,x9=0.9,x10=1であり,対応するyの値から,
y0=1,y10=0.5
y1+y3+y5+y7+y9=3.931069
y2+y4+y6+y8=3.168657
となる。よってシンプソンの公式により,
が得られる。なお,この定積分の正しい値はπ/4=0.785398……である。
執筆者:伊藤 清三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報