数学用語で\(\sqrt{2}\)を数表で見ると1.4142となっていたり,また1/3に対する0.333のように,真の値を近似している数値を近似値という。また1mm単位の目盛のものさしで長さを測ったときの測定値,コンピューターで用いるデータの離散化なども近似値の取扱いになる。真の値と近似値との差を誤差と呼ぶ。いろいろな量を測定する場合に,真の値が正確にはわからないときは誤差もわからないが,そのような場合でも誤差の限界はわかる場合が多い。例えば,1mm単位の目盛のものさしで測る場合,誤差の絶対値は0.5mmを超えない。このように,誤差がいつもa以下,となるようなaを誤差の限界という。このような場合,測定値に±aを添えて誤差の限界を示すことがある。数表にのっている数値は最後の桁が四捨五入された値になっているため,小数点以下n桁の数字がある場合の誤差の限界は1/2(1/10)nとなる。例えば,\(\sqrt{2}\)の値を数表から1.4142と得たとき,1.41415≦\(\sqrt{2}\)<1.41425となる。この例からもわかるように,誤差を考え合わせると近似値の後のほうの桁の数は意味をもたなくなる。近似値の中で,意味のある数字を有効数字という。\(\sqrt{2}\)を1.4142とした場合,有効数字は1.414になり,近似値が3.42で誤差の限界が0.1のとき,3が有効数字になる。真の値の代りに近似値を用いて行う計算が概算である。計算に伴う誤差は,それぞれの近似値の誤差よりも大きくなるため,有効数字に注意する必要がある。
執筆者:西尾 真喜子
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真の値に近い値をいい、測定や近似計算によって得られる。たとえば15℃の空気中の音の速さの近似値は毎秒340メートル、分数1/3の近似値は0.33、円周率の近似値は3.14などである。
近似値と真の値の差
(近似値)-(真の値)
を誤差という。近似値が真の値より大きいときは、誤差は正の数となり、近似値が真の値より小さいときは、誤差が負となる。近似値が真の値により近いということは、誤差の絶対値がより小さいということである。また、誤差を考える際に真の値との割合が重要になる場合がある。そのとき、
(誤差の絶対値)÷(真の値)
を相対誤差ということがある。誤差3%といったりするのはこの意味である。この場合、割る数を近似値で代用しても差し支えない。誤差の絶対値を絶対誤差という。場合によっては、真の値がわからないことがある。そのようなときは、近似値を定めても、誤差はわからないことになるので、誤差の絶対値がけっして超えない値を決める。これを誤差の限界という。普通、なるべく小さく、しかも簡単な値にする。たとえば、円周率の近似値を3.14とするときの誤差の限界は0.002である。測定などで得られた値を、たとえば、長さ230mとするとき、メートルの位まで信頼できるのであれば、2、3、0は有意義な数字であり、もし10mの位まで信頼できるのであれば、2、3は有意義であるが、0は桁数(けたすう)を表すにすぎない。有意義な数を有効数字という。有効数字がどれかがわかるようにするため、2.30×102, 2.3×102のように、整数部分が1桁の小数と、10の累乗の積の形に表す方法が用いられる。
[三輪辰郎]
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