近似値(読み)きんじち(英語表記)approximate value

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

近似値
きんじち
approximate value

真のすなわち正しい値そのものが算出できないとき,あるいは算出できてもそれほど精密な値を必要としない場合に,その代りとして使用される,の値に数値のことを,近似値という。たとえば 3.14159は円周率 π の近似値,2.71828は自然対数の底 e の近似値,0.57721はオイラーの定数 c の近似値,0.84147は sin 1 の近似値などである。いま真の値を a ,その近似値を A とするとき,AaΔaA の誤差または絶対誤差といい,|Δa|≦δ であるような δ>0 を誤差の限界という。 Aa の近似値であることを Aa で表わすことがある。

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世界大百科事典 第2版の解説

きんじち【近似値 approximate value】

数学用語でを数表で見ると1.4142となっていたり,また1/3に対する0.333のように,真の値を近似している数値を近似値という。また1mm単位の目盛のものさしで長さを測ったときの測定値,コンピューターで用いるデータの離散化なども近似値の取扱いになる。真の値と近似値との差を誤差と呼ぶ。いろいろな量を測定する場合に,真の値が正確にはわからないときは誤差もわからないが,そのような場合でも誤差の限界はわかる場合が多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

近似値
きんじち

真の値に近い値をいい、測定や近似計算によって得られる。たとえば15℃の空気中の音の速さの近似値は毎秒340メートル、分数1/3の近似値は0.33、円周率の近似値は3.14などである。

 近似値と真の値の差
  (近似値)-(真の値)
を誤差という。近似値が真の値より大きいときは、誤差は正の数となり、近似値が真の値より小さいときは、誤差が負となる。近似値が真の値により近いということは、誤差の絶対値がより小さいということである。また、誤差を考える際に真の値との割合が重要になる場合がある。そのとき、
  (誤差の絶対値)÷(真の値)
を相対誤差ということがある。誤差3%といったりするのはこの意味である。この場合、割る数を近似値で代用しても差し支えない。誤差の絶対値を絶対誤差という。場合によっては、真の値がわからないことがある。そのようなときは、近似値を定めても、誤差はわからないことになるので、誤差の絶対値がけっして超えない値を決める。これを誤差の限界という。普通、なるべく小さく、しかも簡単な値にする。たとえば、円周率の近似値を3.14とするときの誤差の限界は0.002である。測定などで得られた値を、たとえば、長さ230mとするとき、メートルの位まで信頼できるのであれば、2、3、0は有意義な数字であり、もし10mの位まで信頼できるのであれば、2、3は有意義であるが、0は桁数(けたすう)を表すにすぎない。有意義な数を有効数字という。有効数字がどれかがわかるようにするため、2.30×102, 2.3×102のように、整数部分が1桁の小数と、10の累乗の積の形に表す方法が用いられる。

[三輪辰郎]

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精選版 日本国語大辞典の解説

きんじ‐ち【近似値】

〘名〙 真の値の代わりとして用いる真の値に近い数値。真の値との差を誤差という。近数。また、比喩的に、「近い状態」の意でも用いる。〔数学ニ用ヰル辞ノ英和対訳字書(1889)〕
※小説の方法(1948)〈伊藤整〉日本の場合「最善の場合でもたかだか心の願望に対する近似値にすぎず」

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