改訂新版 世界大百科事典 「ジェルベール」の意味・わかりやすい解説
ジェルベール(オーリヤックの)
Gerbert
生没年:940ころ-1003
ラテン名ゲルベルトゥスGerbertus。フランスの聖職者,教育者で,数学と天文学に長ずる。999年にオットー3世の推挙でフランス人としてはじめてローマ教皇となり,以後シルウェステル2世Silvester Ⅱと称する。オーベルニュのオーリヤックAurillacに生まれ,若き日にバルセロナ伯のボレル2世に引きとられ,このカタルニャの地でいちはやくアラビアの学問に接し,それを吸収した。のちにランスの司教座聖堂付属学校でこうした新知識に基づいて多くの弟子たちを教え,高い名声を得,ザクセン家の師傅となる。当時の西欧世界では抜きんでていた知識の水準ゆえに,しばしば悪魔との結託がうわさされたが,これも例外的に早いアラビア学術との接触によるものと思われる。
執筆者:伊東 俊太郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報