ジンチュウ(英語表記)Dioctophyme renale

改訂新版 世界大百科事典 「ジンチュウ」の意味・わかりやすい解説

ジンチュウ (腎虫)
Dioctophyme renale

ジンチュウ科の線形動物イヌキツネイタチブタ,ウマ,ウシ,人間などの腎臓,とくに腎盂(じんう)に寄生するのでこの名があるが,腹腔胸腔に寄生することもある。ひも状で,体長は雌が20cm~1m,雄が14~45cmで,体幅は4~12cm。大きな個体は血赤色で,体表に輪状線がある。また側線に沿って小さな乳頭突起が並んでいる。口の周囲に6個の乳頭がある。雌の生殖口は頭端から5~7cmの場所にあって,大きさがほぼ0.07mm×0.04mmのビール樽状の卵を産む。雄の尾端には長さが5~6mmの1本の交接刺がある。宿主の尿とともに体外に排出された卵は,第1中間宿主のヒルに食べられ,さらに第2中間宿主のカジカなどの淡水魚の体内に入って終宿主に潜入する機会を待つ。この虫の寄生によって出血性や化膿性の腎炎を起こすことがある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジンチュウ」の意味・わかりやすい解説

ジンチュウ
Dioctophyme renale

袋形動物門線虫綱膨瘤線虫目ジンチュウ科。イヌ,イタチ,ブタ,ウシ,ヒトの腎臓や腹腔に寄生する大型の寄生虫で,体長は雌 20~100cm,雄 14~45cm。体表に輪状線があり,側線には小点状乳頭の縦列がある。宿主の尿と一緒に排出された卵は第1中間宿主のヒルミミズに食べられ,さらにこれが第2中間宿主のカジカなどの淡水魚の体内に入って終宿主へ潜入する機会を待つ。なお,本種が寄生しても症状が現れないこともあるが,出血性あるいは化膿性腎炎を起すことがある。

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