スペクトル項(読み)スペクトルこう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スペクトル項」の意味・わかりやすい解説

スペクトル項
スペクトルこう
spectral term

原子スペクトル線を調べると,その波長の逆数,すなわち波数は νmnTmTn のように2つの項 TmTn の差として表わせるが,これら各項をスペクトル項という。スペクトル系列はスペクトル項を用いて整理することができる。 TmTn は,原子がスペクトル線を出すエネルギー準位EmEn とすると,Tm=-Em/hcTn=-En/hc で表わされる。ただし hプランク定数c は真空中の光速度である。

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化学辞典 第2版 「スペクトル項」の解説

スペクトル項
スペクトルコウ
spectral term

原子や分子のエネルギー準位Eを波数単位で表し,

T = -E/hc
としたもの.はじめ水素原子のすべてのスペクトル線の波数が,

TnR/n2
なる級数の二つの項の差で表されることが見いだされ,ついでほか元素についても,Tn の内容はいくぶん複雑になるが,やはりスペクトル線の波数が

TiTj
のように与えられることがわかって,このようなそれぞれの項Tをスペクトル項とよんだ.スペクトル項と原子エネルギー準位との対応は,水素原子に関するボーアの原子理論によってはじめて明らかにされ,量子力学により確立された.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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