改訂新版 世界大百科事典 「タケネズミ」の意味・わかりやすい解説
タケネズミ (竹鼠)
bamboo rat
ポケットゴファーに似たがんじょうなつくりの原始的な齧歯(げつし)類で,ネズミ科,タケネズミ亜科に属する。中国中・南部からアッサム,マレー半島,スマトラにチュウゴクタケネズミRhizomys sinensisなど3種が分布する。体長23~48cm,尾長5~20cm,体重1~4kg。体は太く,四肢が短く,耳介と目が小さい。前足のつめ,とくに第3指のつめは長く,穴掘りに適する。上下の門歯は大きく口外へ突出し,穴掘りにも使用する。体背面は灰色~褐色,腹面は淡い。標高1200~4000mの竹の密林を好み,竹の根が張った地中にトンネルを掘ってくらす。1頭で数本のトンネルをもち,竹の根を主食とする。夜間はときどき地表に出て広く歩き回り,草,種子,果実も食べる。また,竹を登ることもでき,このときは四肢で竹をはさみこんで登る。インドシナ北部では春と秋に繁殖し,妊娠期間は22日以上,1産1~5子である。子は閉眼,無毛の状態で,地下の巣で生まれる。寿命はおよそ4年である。
執筆者:今泉 忠明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報