タングステン酸カルシウム(読み)タングステンサンカルシウム

デジタル大辞泉 の解説

タングステンさん‐カルシウム【タングステン酸カルシウム】

酸化カルシウム酸化タングステンからなる複酸化物CaWO4またはCa3WO6前者は天然に灰重石として産出し、タングステンの主な鉱物資源となっている。X線紫外線で青色蛍光を発し、X線写真増感紙に用いられる。

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化学辞典 第2版 の解説

タングステン酸カルシウム
タングステンサンカルシウム
calcium tungstate

CaWO4(287.92).テトラオキシドタングステン酸(2-)カルシウムともいう.天然に,灰重石(sheelite)として産出し,タングステンのおもな資源となっている.水溶液中でCa塩とNa2WO4を反応させるか,CaCl2とNa2WO4の混合物に,NaClをまぜて強熱すると得られる.灰重石型構造は典型的な鉱物構造の一つである.わずかにひずんだ正四面体型のWO42-が存在し,W-O 1.788 Å.Caも8個のO原子に囲まれている.無色結晶.密度6.062 g cm-3(20 ℃).水に難溶.融点1580 ℃ まで加熱しても安定である.X線,紫外光照射で青色蛍光(415 nm)を放出する.蛍光体の母結晶,レーザー用結晶などに用いられる.蛍光灯オシロスコープシンチレーションカウンター蛍光染料に利用される.そのほか,Ca3WO6も記載されている.六配位のWO66-を含み,ひずんだ立方格子構造をもつ.[CAS 7790-75-2]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報