翻訳|scheelite
タングステン(W)の重要な鉱石鉱物の一つ。気成ないし高温熱水鉱床、接触交代鉱床(スカルン型鉱床)、ペグマタイト中に産する。気成ないし高温鉱床中のものは、石英脈中に存在し、鉄マンガン重石、輝水鉛鉱、錫(すず)石、硫砒(りゅうひ)鉄鉱、自然蒼鉛(そうえん)などとともに産し、接触交代鉱床中においては、灰鉄輝石、灰礬(かいばん)ざくろ石などと、あるいは磁硫鉄鉱、黄銅鉱などとともに産する。モリブデン置換体の灰水鉛(かいすいえん)石とは化学組成上連続するが、中間物の空間群が異なることが明らかにされたため、従来変種名とされてきたセイリジ鉱seyrigiteが独立種となる可能性がある。自形は正方複錐(ふくすい)状。灰重石後の鉄重石仮晶をライン鉱reinite(化学式FeWO4)という。山梨県牧丘(まきおか)町(現、山梨市牧丘町)乙女鉱山の産出例は有名である。大きい比重、紫外線による発光などの性質から同定される。英名は、1781年に三酸化タングステンを本鉱中に確認したスウェーデンの化学者カール・ウィルヘルム・シェーレKarl Wilhelm Scheele(1742―1786)にちなむ(元素タングステンの発見は1783年)。
[加藤 昭 2016年2月17日]
灰重石
英名 scheelite
化学式 Ca[WO4]
少量成分 Y,Mo
結晶系 正方
硬度 4.5~5
比重 6.09
色 無,白,淡褐,淡黄
光沢 ガラス
条痕 白
劈開 三方向に明瞭
(「劈開」の項目を参照)
その他 紫外線で発光
主要なタングステン鉱石鉱物の一つ。化学組成CaWO4。カルシウムCaを銅Cuが,タングステンWをモリブデンMoがそれぞれ一部置き換えたものも存在する。正方晶系に属し,形は八面体を主とするが,板状,塊状または粒状集合体として産することも多い。透明または半透明で,ガラス光沢をもつ。色は白~淡黄で,褐色みや緑色みを帯びる。条痕は白色。へき開は{101}に明瞭。暗所で加熱したり,紫外線をあてると青色の蛍光を発する。蛍光色はモリブデン含有量が多くなるにつれて,青色から白色を経て黄色へと変化する。モース硬度4.5~5。カルシウムを含み,比重5.9~6.1と外観に似ず重いので,灰重石と命名された。世界のおもな産地は,中国,ミャンマー,アメリカ,ボリビア,ブラジルなど。日本では京都府大谷鉱山,山口県玖珂(くが)鉱山,藤ヶ谷鉱山などに産する。
執筆者:青木 義和
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