ダウリー

百科事典マイペディア 「ダウリー」の意味・わかりやすい解説

ダウリー

ヒンドゥー教徒の婚姻において,女性側から男性側に贈与される財・持参財バルナカーストの婚姻規制によって限られた範囲の中から,より社会・経済的地位上位とされる家の男子との婚姻を目的として贈与が行われる。もとは北インドの上層家庭の習慣だが,近年は中・下層民へも普及し,贈与財の巨額化が著しい。人口増加が進む現代インドでは,女性にとって配偶者選択が難しいという状況がダウリー活発化の背景にある。ダウリーの再取得を目的とする男性側による花嫁殺人も多く,社会問題となっている。法律ではダウリーの授受は禁止されている。
→関連項目花嫁代償

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ダウリー」の解説

ダウリー
dowry

ヒンドゥー教徒の間で,婚姻の際に花嫁側から花婿側の家へ贈られる持参財。花嫁の財産となる場合もあるが,婚家への贈与として扱われることが多く,婚姻のための条件ともなる。ダウリーの慣習は主に上位カーストの間でみられたが,近年,下位カーストの間にも広まりつつある。花嫁側に大きな経済的負担を強いるうえ,持参財をめぐる争いから婚家で花嫁が虐待されることもあり,インド政府は1961年にダウリー禁止法を制定したが,問題の解決には至っていない。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

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