日本大百科全書(ニッポニカ) 「チタンホワイト」の意味・わかりやすい解説
チタンホワイト
ちたんほわいと
titanium white
酸化チタンⅣ(二酸化チタンともいう)TiO2の白色顔料で、着色力、隠蔽(いんぺい)力が白色顔料中もっとも大きく、その代表的存在で、生産額も無機顔料中カーボンブラックに次いで二位となっている。チタン白(しろ)ともいう。製法は硫酸法と、新しく開発された塩素法とがあり、逐次後者による比率が増している。塩素法による製法は、精製した塩化チタン(Ⅳ)TiCl4を気化させ、酸素とともに炉内で燃焼させTiO2(ルチル型)を得る方法で、塩化チタン(Ⅳ)は高チタンスラグに還元剤を加え、高温で塩素ガスを通じてつくる。廃酸処理の必要はなく注目されている。
屈折率はルチル型が約2.71で、顔料中もっとも大。無毒で、塗料、化粧品、ゴム、プラスチック、絵の具など広く使用されている。白さの点でルチル型はアナターゼ(鋭錘石(えいすいせき))型のものに劣るが、これは前者が350~400ミリミクロンに吸収を示すためである。セラミック顔料の分野ではTiO2が釉(ゆう)と反応しやすいため、釉の着色に使用できるTiO2系顔料はない。ただTiO2を母格子とするクロムチタン黄が、タイルなどの素地用顔料として使用されている。
[大塚 淳]