チタン酸塩(読み)チタンサンエン

化学辞典 第2版 「チタン酸塩」の解説

チタン酸塩
チタンサンエン
titanate

酸化チタン水和物Ti O2nH2Oで,組成式がH4TiO4,H2TiO3に相当するものをオルトチタン酸(テトラヒドロキシドチタン(Ⅳ),[CAS 20338-08-3]),メタチタン酸(ジヒドロキシドオキシドチタン(Ⅳ),[CAS 12026-28-7]),その金属塩に相当するものをオルト-,メタチタン酸塩と称する.さらに,組成式上ポリ酸塩構造のもの,たとえばM2Ti2O5など多数記載されているが,正四面体型のTiO4をもつBa2TiO4を除き,いずれも正八面体型のTiO6が存在し,TiどうしおよびMを介してO共有でつながったポリマー構造をもつ複酸化物である.酸に相当するTiO2nH2Oは,たとえば Tiの塩とアルカリの水溶液内反応で,ゲル状またはゾル状物質として得られるが,正確な組成,構造のものは得られず,これらはTiO2の水和物と考えられる.塩に相当するもののいくつかは天然にも産出する.たとえば,灰チタン石(ペロブスカイト,perovskite)CaTiO3,チタン鉄鉱(イルメナイト,ilmenite)FeTiO3,など.TiO2と,各金属の酸化物または炭酸塩を混合加熱溶融すると得られる.通称,メタ酸塩MTiO3は複酸化物で,多くがCaTiO3ペロブスカイト型構造(M = Sr,Ba,Pbなど),またはFeTiO3イルメナイト型構造(M:Co,Feなど),またはその類似構造をとる.Ba2TiO4は,固体はいずれも室温で安定である.水や希酸や希アルカリに不溶.アルカリ金属塩は条件により加水分解を起こす.通称メタ酸塩が工業的に利用されている.Sr塩([別用語参照]酸化チタン(Ⅳ)ストロンチウム),Ba塩([別用語参照]酸化チタン(Ⅳ)バリウム),Pb塩([別用語参照]三酸化チタン(Ⅳ)鉛(Ⅱ))は,強誘電体として電子工業材料などに多く用いられる.また,Li塩はうわぐすりの添加剤に用いられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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