チャンドラセカールの限界(読み)チャンドラセカールのげんかい(英語表記)Chandrasekhar limit

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

チャンドラセカールの限界
チャンドラセカールのげんかい
Chandrasekhar limit

白色矮星の限界質量太陽質量の約 1.4倍。白色矮星は自己重力を電子の縮退圧によって支えている。ところがその質量が太陽の 1.4倍をこえると,星の中心での圧力が無限大となりもはや縮退圧では自重を支えきれず,星はさらに進化する。すなわち,内部温度が上がり原子核反応が起って,中性子星になるか,質量を放出して限界質量以下の白色矮星になる。 1935年 S.チャンドラセカールが理論的に導いたのでこの名がある。

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世界大百科事典(旧版)内のチャンドラセカールの限界の言及

【恒星】より

…すなわち,この場合は温度の助けをかりて圧力を上げ,重力崩壊を防ぐことになる。大質量の縮退核ができないのは太陽質量の1.4倍くらいのところにチャンドラセカールの限界と呼ばれる上限があるためである。小質量星,大質量星のいずれにしてもヘリウム核は,中心が高圧で外側が比較的低圧の状態,すなわち一つの星のようにふるまい,その外包は中心核にあまり荷重をかけないように広がって,半径の大きな星の構造が成立する。…

【チャンドラセカール】より

…アメリカの理論天体物理学者。インドのラホール(現,パキスタン)に生まれ,マドラス大学およびイギリスのケンブリッジ大学で学ぶ。1936年渡米,53年帰化。諸大学を歴任の後,1944年よりヤーキス天文台教授となる。21歳のとき,白色矮星(わいせい)の内部構造の研究からその質量には上限(電子の縮退圧によって,平衡を保つことのできる質量には限界があり,その限界をチャンドラセカール限界という)があることを発見,これよりも重い星は進化の途上で余分な質量を放出せざるを得ないことを示した。…

※「チャンドラセカールの限界」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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