日本大百科全書(ニッポニカ) 「トンガ(民族)」の意味・わかりやすい解説
トンガ(民族)
とんが
Tonga
南部アフリカ、モザンビーク南部に住むバントゥー系諸族の一つ。人口は関連する諸部族をあわせて100万を超える。トウモロコシ、ソルガムそのほか雑穀類をおもに栽培する農耕民であるが、家畜も経済的に重要である。出自は父系をたどり、父系リネージ(系族)を核とした集落に暮らしている。多数の首長国に分かれ、それぞれの首長国は、1人の最高首長と、最高首長が住む宮廷がある主都をもっていた。最高首長は神聖王としての性格をもち、国土の繁栄に責任をもち、数々の禁忌(タブー)に取り巻かれていた。最高首長の健康状態は国土の繁栄に直接かかわっていると信じられていたため、肉体的に衰えを示すと、歯が1本抜けただけのことでも、首長は儀礼的に殺されねばならなかった。
アフリカにはトンガとよばれる社会集団がほかに二つある。ザンベジ川地方のトンガは母系の無頭型社会(統治機構をもたない社会)、マラウイ湖の湖岸トンガも同じく母系である。三つのトンガ社会の間には類縁関係はみられない。
[濱本 満]
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