トウモロコシ(読み)とうもろこし(英語表記)maize 英語

改訂新版 世界大百科事典 「トウモロコシ」の意味・わかりやすい解説

トウモロコシ (玉蜀黍)
maize
corn
Zea mays L.

子実を食用や工業原料に,また子実と茎葉を飼料とするために栽培されるイネ科の大型一年草トウキビ,トウムギともいう。イネコムギとともに世界の三大穀物の一つである。

初夏に発芽して,茎を伸ばし,生育が進むにつれ徐々に大きな葉を互生し,盛夏には長さ1m,幅8cmを超える葉も現れる。茎は直立して高さは1~4m,太さ2~5cmとなる。分げつは比較的少なく,出ても1~2本である。草丈が1~2mに伸びると,地際から上の2~3節から多数の太い支持根が冠状に出て地面に入り,茎が倒れるのを防ぐ。穂(花序)は雌雄別々で,雄花序は茎の先端に,雌花序は茎の中ほどに1~3個が葉の付け根の節につく。雄花序は中央の長い軸から十数本の枝(枝梗)が分かれ,それぞれに2個ずつ対をなした小穂が多数つく。各小穂は2小花からなり,1穂に数千個の小花がつく。小花は2枚の穎で包まれ,3本のおしべがあるが,中央のめしべは退化している。雌花序は太く短い茎(穂柄)の先につく。穂柄からは6~10枚の苞葉が伸び,雌花序を包む。雌花序の軸(穂軸)は太く,軸上には小穂が2列ずつ対になっており,8~20列,縦方向に並ぶ。1小穂は2小花からなるが,下位の小花は退化し,上位の小花のめしべだけが発達して結実にいたる。めしべの花柱と柱頭はひじょうに長く伸び,苞葉の先から出て,束になって垂れる。これは絹糸と呼ばれ,長いものでは50cmを超し,この絹糸抽出をもって雌穂の開花とする。受粉は風媒により,他家受精をする。

 粒(穎果)の形は品種によって異なり,大きさも3~20mmの幅があるが,10mm前後のものが多い。色も白,黄,橙,赤,紫色などがある。粒の腹面には大きな胚があり,全粒重の11~12%を占め,中には次代の幼芽,幼根が準備されている。残りの部分は胚乳で,タンパク質が豊富で,角質の硬質デンプン組織と,タンパク質含量が少なく,粉状質の軟質デンプン組織とからなり,その割合や胚乳内での分布は次に述べるような品種群によって大きく異なる。

トウモロコシは,その粒の形状や胚乳の質に基づいて以下の8変種の品種群に区分される。馬歯種var.indentata Sturt.はデントコーンdent cornとも呼ばれ,果粒の側面が硬質,中央先端部が軟質で,成熟すると頂部がくぼむ。草丈は4mほどになり,子実収量が高い。おもに飼料用やデンプン,油などの工業原料用とする。硬粒種var.indurata Sturt.はフリントコーンflint cornとも呼ばれ,果粒の外側は硬い角質,草丈は1m前後である。馬歯種よりも早生で,作物を栽培できる期間が短い高緯度や高冷地に作付けされる。おもに飼料や工業原料用とする。爆裂種var.everta Sturt.はポップコーンpopcornとも呼ばれ,粒の大部分が硬く,中央部に水分を含んだ軟質部があり,熱すると軟質部が急に膨らんで粒がはぜる。粒は小さく,白,黄,赤色などを呈する。甘味種var.saccharata Sturt.はスイートコーンsweet cornとも呼ばれ,胚乳に糖を多く含み甘く,おもに未熟な果粒を缶詰にしたり,青果を間食用とする。茎葉は飼料にする。軟粒種var.amylacea Sturt.(英名soft corn)やもち(糯)種var.ceratina Kulesh.(英名waxy corn),軟甘種var.amylea-saccharata Sturt.(英名starchy-sweet corn)などは一部の国々で少量栽培されているが,日本ではほとんど栽培されていない。また,有稃(ゆうふ)種var.tunicata Sturt.(英名pod corn)は,果粒は硬粒種に似るが,その一つ一つが退化することなく発達した穎で包まれている。南アメリアから中央アメリカにかけての地域での古い栽培型で,現在ではほとんど栽培されていない。

 トウモロコシは,多くの品種と品種群を分化させているが,基本的には他の個体の花粉によって受精する他家受粉植物で,とくに異なる品種間で交雑してできた雑種の1代目は,その両親の形質よりも優れた形質を示す〈雑種強勢〉と呼ばれる性質を示すことがある。これを利用して作られた品種をハイブリッドコーン(一代雑種トウモロコシ)と呼び,現在の栽培品種の中心となっている。馬歯種と硬粒種とを掛け合わせたものなど,品種群(変種)間の交雑によって優れたハイブリッドが得られている。とくに優秀なハイブリッドの交配親となる品種は,種苗会社がこれを育成し,その交配種子を独占的に販売している。

トウモロコシは土から養分を吸収する力が強く,少ない肥料でもある程度の収量が得られ,また,肥料を多く与えた場合にも,生産量の増加する割合が他の作物より高い。施肥方法は,地域や土質によって異なるが,10a当りで,子実600kgの収穫を目標とした場合,基本的な施肥量は,窒素約11kg,リン酸約11kg,カリ約9kgとされている。高い草丈となる作物なので,深く耕して,風で倒れないように根を張らせるようにする。10a当りで必要な種の量は1.3~6kgで,後に間引きして条間60~90cm,株間30~45cm,1株1~2本とし,10aで3700~5500本を仕立てる。アメリカでの近年の栽培は株間10cm程度で栽植密度が高い。播種(はしゆ)から生育初期にかけては鳥害に注意し,生育中期以降はアワノメイガなどの害虫を防除しなくてはならない。青果用とする場合は,ほとんどが小規模な集約的栽培で,収穫は手でもいで集めることが多い。収穫適期は糊熟(こじゆく)期の穂から垂れた絹糸が枯れたころである。穀物として完熟した子実を採る場合には,大規模栽培が多く,コーンコンバインなど機械によって収穫される。収穫適期は粒が硬くなり,苞葉が黄変したころである。

完熟したトウモロコシは,粉にして練って焼いたり圧扁してコーンフレークスとしたりして食用とする。また,粒のままいったり煮たりして食べることもある。ウィスキーの原料にもする。しかし,現在は主として成熟粒からデンプン(コーンスターチ)を採り出し,かまぼこやソーセージなどの練製品や菓子類など加工食品の原料とし,また,ビールなどの醸造原料にも利用し,糖化して甘味料にもする。コーンスターチは工業原料としての利用も多く,のり(糊)として製紙や織物工業に使われる。また,粒の胚からは半乾性油のトウモロコシ油が採れ,食用油として使われる。甘味種や硬粒種の未熟なものは,焼いたり煮たりして生食用とし,粒を缶詰にして料理などに使う。爆裂種はいって菓子用にする。また,開花前のひじょうに若い雌穂は,ベビーコーン(ヤングコーン)と称してサラダや中華料理に使う。トウモロコシは飼料としても重要で,先進諸国の畜産を支えている主要な作物である。完熟した粒を破砕して濃厚飼料の主原料とする。茎葉は青刈りして家畜に与える。また穂のついた茎葉を細かく切ってサイロに詰め,サイレージとする。果軸はコーンパイプを作る。稈(かん)や葉などの植物体は燃料や建築材料に用いられる。
執筆者:

トウモロコシは新大陸原産の穀類で,15世紀末にコロンブス一行がスペインに持ち帰って,初めて旧大陸でも知られるようになった作物である。その起源については祖先種が未確定なので明らかではない。しかし,起源地は近縁野生種や原始的な品種の存在,品種の多様性などの点から,メソアメリカもしくはアンデス地域のいずれかであるとされる。考古学的に知られているトウモロコシに関する最も古い証拠は,メキシコで発掘された約7000年前のものと推定される,長さ約2.5cm,50~60粒の種子をつけた穂軸である。これは野生のトウモロコシと考えられていて,その栽培はメソアメリカで前3000年,アンデス地域でも遅くとも前1000年ころには始まったらしい。その後,新大陸各地でさまざまな品種がうみだされ,コロンブスが新大陸を発見した当時,現在みられるおもだった品種のほとんどが開発されていた。

 スペイン人が到来する以前の新大陸では,アカザ科やヒユ科の数種の植物が雑穀として栽培されているくらいで,本来の意味で穀類といえる作物はトウモロコシが唯一のものであった。それだけにトウモロコシは新大陸の諸文化の成立や発達に大きな役割を果たしてきた。例えば,メソアメリカおよび中央アンデスは新大陸のなかでも最も古い時期に農耕が成立,発達した地域であるが,これら両地域でもかなり早い段階でトウモロコシが出現,その栽培とともに先史時代の人間の生活に大きな革新の生じたことが知られている。とくに,メソアメリカではトウモロコシを主作物とする農耕文化が発達,それを基盤として高度文明が成立したことで有名である。その代表的な例が紀元前後から10世紀ころまでユカタン半島を中心とするマヤ低地で栄えたマヤ文化である。マヤではトウモロコシを主作物とする焼畑農耕によって大きな人口を維持し,その余剰生産物によって,神官や職人階級の存在,さらには大型祭祀センターの建設も可能になったとみられている。さらにスペイン人によって滅ぼされるまで,メキシコ中央高原に栄えていたアステカ文化もまたトウモロコシ耕作を基礎とする農業によって支えられていた帝国である。乾燥した中央高原を舞台とするアステカ帝国では,階段耕作や灌漑技術の発達によってトウモロコシの大規模な集約農耕が可能になったのである。このようにメソアメリカではトウモロコシがきわめて重要な作物であったため,宗教のうえでもトウモロコシの神はとくに崇拝されていた。

 新大陸におけるもう一つの高文明地帯である中央アンデス地域でも,海岸地帯などでは古い時代からトウモロコシ耕作を基礎とする農耕文化が発達してきた。また,15世紀に中央アンデスのほぼ全域を統一したインカ帝国は,中心地こそ寒冷な高地にあったが,周辺の温暖な谷間を利用して階段耕作によりトウモロコシの大量栽培が行われていた。このトウモロコシ栽培用の階段耕地はきわめて大規模で,しかもインカの石積み技術を駆使して精巧につくられたものが多かった。このような階段耕地はスペイン語でアンデネスandenesとよばれるが,アンデスということばはそれに由来するといわれる(インカ文明)。

 16世紀以降,旧大陸産の作物や家畜が新大陸にも導入され,各地で大きな変化を及ぼしたが,メソアメリカや中央アンデスでは現在も大量にトウモロコシが栽培され消費されている。また,その利用の方法も伝統的なものをよく残している。まず,メソアメリカではスペイン人の到来以前から現在にいたるまで,主食はだいたいどこでもトウモロコシを材料とするトルティリャである。トルティリャは,薄く丸い生乾きのせんべいといった感じのもので,両面をかるく焼いてちぎって,トウガラシ汁につけて食べる。またこれを皿代りにして,肉や野菜,その他,いろいろなものを包み込んで食べるのがタコスtacosと呼ばれるメソアメリカの代表的な料理である。

 アンデスのトウモロコシの利用法の特色は,日常的な食糧としてより,むしろ一般にチチャの名まえで知られる酒の材料として消費されるところが多い点である。チチャは,トウモロコシを発芽させて,もやしをつくり,これを長時間煮こんで発酵させたものである。そのアルコール分は,あまり強くはなく,老若男女を問わず飲まれている。とくに,祭りや儀礼にはチチャが不可欠になっているところが多く,その際にはトウモロコシが大量に消費される。この事情はインカ時代のほうが顕著で,トウモロコシは儀礼的にも重要な作物とされ,それがトウモロコシ用の階段耕地がとくに精巧に作られた理由であると説明されている。
執筆者:

新大陸原産のトウモロコシを旧大陸に初めてもたらしたのはコロンブスの一行であった。スペイン語でトウモロコシを意味するマイスmaízの語は,コロンブスの部下がキューバでトウモロコシを入手した際に聞いた原地のことばに由来し,英語ではメーズmaize,フランス語ではマイスmaïsの語があてられる。トウモロコシは16世紀前半以降イベリア半島,地中海地方をへて東ヨーロッパや北アフリカにも普及した。ヨーロッパではトウモロコシは飼料作物として重要で,例えば18世紀南西フランスにおけるトウモロコシの普及は,家畜の飼育条件を好転させ,ひいては農器具の改良とあいまってフランス農業発展の基盤となった。そのようすは18世紀末にフランス各地に旅行したイギリスの農学者A.ヤングの著作にもうかがえる。トウモロコシは一方では,ポルトガル人によってインド,東南アジア,中国へも16世紀の間に伝えられ,日本には同じくポルトガル人によって1579年(天正7)にもたらされたといわれる。本格的な栽培が始まったのは明治初年,北海道にアメリカの品種を導入してからである。

 アメリカではトウモロコシをコーンcornと呼ぶが,元来穀物を意味するこの英語がトウモロコシの意に特定されたことに示されるように,この国のトウモロコシとのかかわりは深い。17世紀の北アメリカへの植民当初,ジェームズタウンやプリマスのイギリス人たちは厳しい自然環境に直面した。プリマス植民地では最初の冬で約半数の病死者を出し,食糧不足は数年続いた。当時トウモロコシ栽培は北アメリカのインディアンの間にも普及しており,植民者たちは彼らからその栽培法を学び,食糧とするとともに,しだいに余剰分は豚などの家畜の飼料,またウィスキー(バーボンやコーンウィスキー)の原料として利用されていく。南北戦争までには南部の主要栽培穀物となった。その後,南部が綿花栽培へと転ずるにつれ,品種の改良とともに中西部に広がり,いわゆるコーン・ベルト(トウモロコシ地帯)が形成された。今日,世界市場のトウモロコシ価格はこの地帯のできに左右されるといわれる。
執筆者:

トウモロコシは,おもに畜産に結びついた飼料用作物として全世界で栽培され,その作付面積は1億3600万ha,生産高は5億t前後に及ぶ。この生産高は米と並んで,小麦に次ぐものである。しかし日本では消費のほとんどを外国からの輸入に依存し,作付面積はきわめて少ない。機械化栽培に適する作物であるから,耕地面積の広いアメリカなどでの栽培が有利であり,アメリカが世界生産の3分の1強を占め,最大の輸出国となっている。

 日本におけるトウモロコシは,収穫する時期によって,青刈り(飼料用),未成熟(食用),子実(飼料用,加工原料用,種子用)に分類される。(1)青刈りトウモロコシはサイレージなどで家畜に給餌されるが,輸入が困難であることから畜産業の発展とともに作付面積を伸ばし,現在では全作付面積の70%あまりを占める。畜産の盛んな北海道がその大半を占めている。(2)未成熟トウモロコシ(ヤングコーン)はゆでて間食用とするものと,料理用缶詰とするものがある。近年品種改良により甘みのある軟らかい品種が普及したため需要が伸び,千葉,茨城,群馬など中間地帯での作付けが多い。北海道は,その広い耕地面積を生かして,缶詰用,冷凍用に作付面積を伸ばしている。また,最近,野菜作地帯において輪作作物として導入する例も多い。(3)子実トウモロコシは外国産トウモロコシに圧迫されて年々減少している。輸入量に対する国内生産量は1万分の4とゼロに等しい。子実用で特殊なものに種子用があり,国内採種を積極的に進めた時期もあったが,これも収益性が低いため大幅に減少し,未熟用,青刈用とともに大部分を外国種子に依存している。

 トウモロコシの輸入量は,1965年以降,15年間で5倍に増加し(1995年の輸入量は1660万t),農産物輸入品目のうち,小麦や大豆をしのぎ第1位の輸入金額であり,ロシアと並ぶ世界最大の輸入国である。おもな輸入先はアメリカ,南アフリカ,タイで,そのうちアメリカが90%を占める。輸入トウモロコシの75%が飼料用で,他の輸入穀類と配合されて家畜の濃厚飼料として給餌されているが,国際需給の動向,とりわけアメリカ産トウモロコシの供給変動が,日本の畜産業の動向を左右するといってよい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トウモロコシ」の意味・わかりやすい解説

トウモロコシ
とうもろこし / 玉蜀黍
maize 英語
corn アメリカ英語
[学] Zea mays L.

イネ科(APG分類:イネ科)の一年草。トウキビ(唐黍)ともいう。子実を食用や工業原料に、また地上部全体を飼料に利用するために栽培する。茎は直立し、高さ1~4メートル。節数は14~16のものが多く、ほとんど分枝しない。葉は互生し、葉身は大きいものでは幅5~10センチメートル、長さ1メートルを超す。雌雄異花。夏に花を開く。雄花序は茎の先端に抽出して雄穂とよび、雌花序は茎の中くらいの1~3節の葉腋(ようえき)に一つずつ生じ雌穂とよぶ。雄穂は長い穂軸から十数本の枝柄が分かれ、各枝柄に多数の雄性の小穂が対(つい)になってつく。各小穂は2小花からなり、小花には3本の雄しべがある。雌穂は何枚もの包葉に包まれた円柱形で、穂軸(芯(しん))の表面には雌小穂が縦に10~20列並ぶ。小穂は2小花よりなるが、下位の小花は不稔(ふねん)で、上位の小花のみが結実する。上位小花の雌しべの花柱、柱頭は長く糸状に伸び、絹糸(けんし)とよばれる。これが各小花より伸び出して、開花時には雌穂全体の絹糸が束となって包葉の先から現れる。同じ個体では雄花は雌花よりも2日ほど早く開く。風媒花で、他家受精する。開花後、雌穂は長さが14日目ころまで、太さは20日目ころまで発達する。開花後約50日で完熟する。

[星川清親]

分類

子実の形質により、次のように分類される。

(1)馬歯種(ばししゅ)(デントコーンdent corn) 子実の側部は硬質デンプン、内部と頂部は軟質デンプンが分布するので、子実が成熟して乾燥すると頂部がくぼみ、馬の歯状になる。一般に晩生(おくて)で、草丈が高く、葉がよく茂り、雌穂数は少ないが大形で子実収量が多い。おもに飼料として、またデンプンなどの工業原料として用いられ、トウモロコシのなかでもっとも栽培が多く、世界各地に分布する。

(2)硬粒種(こうりゅうしゅ)(フリントコーンflint corn) 子実の側部も頂部も硬く、頂部は丸く光沢を帯び、内部に軟質部がわずかにある。硬粒種はさらに早生(わせ)硬粒、中生(なかて)硬粒、熱帯硬粒に類別される。概して馬歯種よりも早生で、とくに早生硬粒はアメリカで栽培されるトウモロコシのうちで最早生で、高緯度や高冷地など作期の短い所で栽培される。食糧、飼料、工業原料用とする。

(3)甘味(かんみ)種(スイートコーンsweet corn) 胚乳(はいにゅう)に糖を多く含み、甘く、子実が成熟してもデンプンのほかに糖が多く残っている。成熟した子実は半透明で、乾燥すると粒面にしわが寄る。おもに未熟果を間食用とする。また、これらを冷凍や缶詰に加工する。残った茎葉は飼料用とする。

(4)爆裂(ばくれつ)種(ポップコーンpop corn) 粒全体が硬質デンプンで堅く包まれ、内部にわずかに軟質部があり、ここに水を含むので、加熱すると水分の急激な膨張によって子実は爆裂してはぜかえる。子実は小さく、粒先のとがった型や丸い型があり、白、黄、赤褐色などがある。間食用とする。

 これらのほか、子実全体が軟質デンプンの軟粒種(ソフトコーンsoft corn)、加熱すると粘性の強い糯(もち)デンプンをもつ糯種(ワキシーコーンwaxy corn)、1粒1粒が穎(えい)(皮)に包まれている有稃(ゆうふ)種(ポッドコーンpod corn)などがあるが、これらの栽培はきわめて少ない。

 近年、馬歯種、硬粒種、甘味種などで、各種内あるいは各種相互間の人工交雑によってハイブリット品種ともよぶ雑種一代品種(F1(エフワン)種)が盛んに開発されている。これらは高い生産性をもち、急速に普及し、栽培品種の中心となった。このためトウモロコシの生産量が増大した。

[星川清親]

栽培

トウモロコシは高温多照の気候に適し、生育最盛期と出穂期には適当な降雨を必要とし、成熟期には乾燥気候が望ましい。土質は腐植に富む排水良好な地が最適であるが、かなりの不良地にも耐え、酸性土壌に対しても比較的強い。草丈の高い作物であるから、風によって倒伏しやすいので、根を深く張らせるように深耕する。平均気温15℃、5月中旬の播種(はしゅ)が標準であるが、播種適期の幅が広く、南西暖地では4~6月に及ぶ。うね間60~90センチメートル、株間30~50センチメートルに播種する。最近はドリル播(ま)き(条(すじ)播き)が普及し、条間40~50センチメートルとしている。青果用には子実が糊(のり)状に熟したころに、飼料、デンプン用原料とする穀実用には子実が硬く熟し、外見からは包葉が黄変する9~10月に収穫する。大規模な栽培では、収穫はコーンコンバインで行う。病気には煤紋(すすもん)病、ごま葉枯病、黒穂病などがあり、害虫にはアワノメイガやアワヨトウなどがおり、適期の薬剤防除が必要である。

[星川清親]

生産状況

2016年の全世界での収穫面積は1億8796万ヘクタール余りで、約10億6011万トンの収穫があり、コムギ、イネに次ぐ三大穀物の一つである。最大の生産国はアメリカで、収穫量3億8478万トン、全世界の収穫量の約36%を占めている。ついで中国が2億3184万トン、ブラジルが6414万トン、以下アルゼンチン、メキシコ、ウクライナの順となっている。日本では穀実用としての作付面積は、第二次世界大戦後しばらくの間、3万5000から5万ヘクタールの間で推移したが、昭和30年代末から減少の傾向が著しく、1983年には約750ヘクタールの作付面積にまで減少した。一方、青果用の未成熟トウモロコシ(スイートコーン)の作付面積は漸増し、2016年(平成28)現在の作付面積は約2万4000ヘクタール、収穫量は19万6200トンであり、府県別では北海道、千葉、茨城、群馬、山梨の順である。また、青刈り飼料用は戦後の畜産発展に伴って栽培が増え、作付面積は約9万3400ヘクタール、収穫量は約425万5000トンとなっている。

[星川清親]

起源と伝播

起源に二つの説がある。紀元後1000年ころまで現存していた野生祖先種がボリビアからメキシコまで広く分布していたが、少なくともメキシコとボリビアで栽培型が成立し、さらにメキシコにおいてこの栽培型とトリプサァクム属Tripsacumのある種との交雑によって急激な進化が生じ、現在のトウモロコシが成立したとする説である。他の一つは、メキシコ、グアテマラ、ホンジュラスのトウモロコシ畑の随伴雑草として生えているテオシントZ. mexicana Schrad.が野生祖先種であるという説である。この説は、近年多年生のテオシントZ. diploperennis Schrad.がメキシコで発見され、ますます有力となっている。

 その起源の年代は古く、考古学的資料によれば、野生祖先種は少なくとも紀元前5000年ころにはメキシコに分布しており、栽培型が成立したのは前3000年ころである。そして前2000年ころには現在みられるようなりっぱな穂形が成立した。

 北アメリカへの伝播(でんぱ)は古く、ニュー・メキシコ州では前2300年の遺跡から出土している。北アメリカ全土への伝播起点はニュー・メキシコ州のヒーラ川とグランデ川の支流域で、そこから一つはユタ州のグリーン川に沿って伝播し、もう一つはロッキー山脈の東麓(とうろく)を通ってコロラド州へ、さらに北アメリカ中央の大平原を経て、1400年にはミズーリ川とオハイオ川の流域に広く栽培された。このようにして19世紀にはコーンベルトといわれる大生産地が出現した。

 ヨーロッパへの導入は、新大陸発見時にキューバからスペインに持ち帰ったのが最初である。その後30年間にフランス、イタリア、トルコ、北アフリカにまで伝播し、アフリカの各地には16~17世紀の間に広まった。アジアへは16世紀の初めポルトガル人によって入り、インドからチベット経由で中国に入った。また中国へはトルコ、イラン経由でももたらされた。日本へは1579年(天正7)にポルトガル人が長崎に入れたのが最初であるが、明治初年にアメリカから北海道に入り、北海道で盛んに栽培された。

[田中正武]

利用

トウモロコシの成熟した穀粒100グラム中の成分は、水分14.5グラム、タンパク質8.6グラム、脂質5.0グラム、炭水化物は糖質が68.6グラムと繊維が2.0グラム、灰分1.3グラムである。これをひき割りや圧扁(あっぺん)(コーンフレーク)して食用とする。また粉にしてパンに焼く。現在、食用には主としてトウモロコシデンプン(コーンスターチcornstarch)にしてから、菓子や練り製品などの加工食品に用いられている。コーンスターチはビールなどの醸造原料にも使われ、また製紙や織物工業では糊(のり)として多量に使用されている。胚(はい)からはとうもろこし油(コーンオイルcorn oil)がとれ、サラダ油などの食用油として良質であり、このほか、マーガリン、せっけんなどの原料にもする。またアメリカのバーボンウイスキーは、開拓時代、ケンタッキー州バーボン郡の農民たちにより、トウモロコシを主材料にしてつくられたもので、現在アメリカンウイスキーの代表格である。

 スイートコーンはおもに未熟果をゆでたり焼いたりして食用とする。甘味は収穫後急に減少するので、すぐに缶詰や冷凍に加工して、家庭の料理材料などにも需要を広めている。未熟な粒100グラム中の成分は、水分74.7グラム、タンパク質3.3グラム、脂質1.4グラム、炭水化物は糖質が18.7グラムと繊維が1.2グラム、灰分0.7グラムである。ポップコーンはおもに菓子用とされるが、とくにアメリカで需要が多い。

 トウモロコシは穀粒も茎葉も家畜の飼料として重要である。粒は破砕して配合飼料の主原料とされ、先進諸国の畜産を支えている。茎葉は青刈り飼料となり、また、サイレージにする。とくに粒が黄熟期になったときに穂ごと茎葉を刈り取ってつくるホールクロップサイレージは飼料栄養価が高く、もっとも重要な自給飼料である。

 茎葉の枯れたものは燃料とされ、またアメリカでは穀粒をとったあとの雌穂の芯(しん)からパイプをつくる。

[星川清親]

 トウモロコシの粒の色(果皮の色)は、黄色以外に白・橙(だいだい)・赤褐・赤紫・黒紫色とさまざまである。黒いトウモロコシからつくったチチャという飲料は、赤い色を呈して美しい。また、ペルーではイチゴジャムに似た色のジャムがつくられる。黒いトウモロコシの色素(コーン色素)はアントシアニン系のシアニジン3グルコシドが主成分で、酸性で赤色、中性で赤~暗赤色、アルカリ性で赤紫~暗藍(あんらん)色を示し、清涼飲料、シロップ、冷菓、漬物などの色づけに使用されるが、酸化すると退色しやすいのが欠点。黄色い色素はカロチノイド系の色素でカロチン類とルチンなどを含む。

[湯浅浩史]

料理

未熟果のトウモロコシは生鮮品、冷凍品(全形、カットコーン、粒状など)、缶詰(水煮缶、クリームスタイル)が利用される。生鮮品はおもにそのままゆでたり焼いて食用にする。ゆでて実をこそげたものは、かき揚げにしたり、バターで炒(いた)めて肉料理の付け合せや、サラダ、煮込み物などに加える。また、牛乳を加えてコーンスープにしたり、ベーコン、タマネギなどと炒めて牛乳やスープで煮込んだコーンチャウダーに用いる。粉末にしたものは日本でも古くからまんじゅう、すいとん、お焼きなどにして食べられてきたが、メキシコやペルーでも主要な食料として古くから用いられている。また、北イタリアの伝統的な料理のポレンタpolentaはトウモロコシ粉をマッシュポテトのように練ったものである。粉を用いた加工食品にはコーンブレッド、コーンケーキなどがある。

[河野友美・山口米子]

人間との関係

主作物としての地位を長く保った新大陸においては、トウモロコシの増殖は人々にとって最大の関心事であった。マヤ文明では、トウモロコシの神は青年の姿で表現され、また作物の豊穣(ほうじょう)には雨が不可欠なことから、雨の神が農耕儀礼の対象となった。アステカ人は、ケツァルコアトル神がトウモロコシその他の作物、およびその栽培法を人間に教えたと信じた。ペルーでは、インカの初代の王が文化英雄として農耕を教えたという話があるが、古くはトウモロコシの穂に包まれた神や、トウモロコシとマニオク(キャッサバ)を両手に持つ神が土器などに表現されており、それらは文化英雄あるいは豊穣の神を表すものと考えられている。今日、アンデス高地のケチュア人には次のような民話が伝えられている。昔、コンドルに案内されて天に昇ったキツネが、まだ地上にないトウモロコシなどの食物を食べて満腹になり、綱を伝って地上へ降りる途中、インコの群れをののしったために綱を切られて地上に墜落した。そのとき破裂したキツネの体から作物が飛び散り、以後それらが地上で生えるようになったという。アマゾン流域の森林地帯にも、栽培植物の起源を語る神話が多いが、アピナエ人には、1人の男が星の女を妻にしたが、女が川のそばにトウモロコシの大木があることを教えたので、男とその仲間はこれを切り倒そうと2人の子供に斧(おの)をとってくるよう命じる。ところが子供たちは途中で禁を犯し、オポッサムを殺してその肉を食べたので、たちまち老人になった。しかし人間はトウモロコシを手に入れ、畑をつくることを知ったという。これらの話は、人間は作物と交換に死や老衰を運命づけられたというテーマを基本にしており、ペルーで木を切り倒す祭りが豊穣儀礼となることとも関連しているようである。

 メキシコやペルーでは、トウモロコシはポソル(粥(かゆ))、タマル(蒸しパン)、トルティーヤ(薄焼きパン)、モテ(ゆでたもの)、カンチャ(炒(い)ったもの)などに調理されるが、ペルーはじめアンデス地域では、トウモロコシはチチャという一種のビールをつくるのに欠かせない。チチャは、発芽した実をすりつぶしてその煮汁を発酵させたもので、祭りや儀礼の際に不可欠の飲料である。海抜3500メートル以上の高地ではトウモロコシは育たないが、そこに住む人々は、このチチャのために険しい山を下りて畑をつくったり、物々交換や労働交換の形で谷間の住民から手に入れる。

[大貫良夫]

『菊池一徳著『トウモロコシの生産と利用』(1987・光琳)』『菊池一徳著『コーン製品の知識』(1993・幸書房)』『ゼネックス編著、茅野信行監修『コーンブック――トウモロコシ相場の分析方法』(1998・ゼネックス、星雲社発売)』『戸沢英男著『トウモロコシ――歴史・文化、特性・栽培、加工・利用』(2005・農山漁村文化協会)』


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食の医学館 「トウモロコシ」の解説

トウモロコシ

《栄養と働き》


 中南米原産のトウモロコシは米、小麦とならぶ世界三大穀物の1つです。わが国ではもっぱら野菜感覚で使われていますが、南米では主食にされている重要な穀物です。
 わが国に渡来したのは1570年代で、本格的な栽培がはじまったのは明治時代からです。
 品種は数千種にものぼりますが、現在わが国でおもに食べられているのは糖分の多いスイートコーンの1種です。
〈実だけでなく、髭の部分にも利尿効果が〉
○栄養成分としての働き
 主成分はでんぷんで、たんぱく質、脂質、糖質をバランスよく含んでいます。ビタミンB1、B2、Eが多く、ゆでても損失が少ないのがトウモロコシの特徴です。
 とくに胚芽(はいが)の部分にはリノール酸やビタミンB1、B2、Eが多いので、細胞の酸化を抑え老化防止に有効。リノール酸はコレステロール値を下げるので、動脈硬化の予防にも役立ちます。
 不溶性繊維である食物繊維も多く、便秘(べんぴ)解消、大腸がん予防にも効果的。
 ポップ種でつくるポップコーンは、食物繊維不足の人にうれしい高ファイバー食です。
○漢方的な働き
 トウモロコシを包んでいる髭(ひげ)の部分は、漢方として利用されています。南蛮毛(なんばんもう)と呼ばれるもので、髭を日干しにしたものです。利尿作用が高く、中国では慢性腎炎(まんせいじんえん)の治療、妊娠時のむくみ改善に用いられているといいます。糖尿病に対しても薬効があるとされ、補助食品として使用されています。
 血圧降下作用、胆汁(たんじゅう)の分泌促進(ぶんぴつそくしん)、止血作用、血糖降下作用などがあることもわかっており、肝炎や尿路結石、高血圧、鼻血の治療に南蛮毛を煎(せん)じたものが用いられています。

《調理のポイント》


 鮮度の低下がはげしい食品で、収穫後、1日放置しただけで栄養分も風味も半減してしまいます。したがって、買ったその日のうちに食べるようにしましょう。残った場合には、ゆでてから保管するとおいしさが保てます。
 ゆでたり、蒸(む)したり、焼いたりして一般的に食べられているのは、未熟粒のものです。消化が悪いので、よくかんで食べること。
 肉料理の付け合わせに用いると、肉に不足している食物繊維が補えるので、栄養バランスがとれます。
 完熟粒は粉にして、製菓やスナック食品の原料にされます。リノール酸が豊富なコーン油は、完熟粒の胚芽(はいが)からとった油です。
 朝食用シリアルとして知られている「コーンフレーク」は、粗(あら)くひいたトウモロコシの粉に、麦芽(ばくが)、砂糖などを混ぜて加熱し、圧力を加えて焼き上げたものです。
 炭水化物、たんぱく質、ビタミンB1、食物繊維などの栄養素を手軽にとれる食品です。朝食には、牛乳をかけて食べるとカルシウムも補給できます。また、やわらかくすれば、離乳食や幼児食としても最適です。
 ただし、不足しがちなビタミンCを補給するためには、サラダやくだものなどもいっしょにとりたいものです。

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百科事典マイペディア 「トウモロコシ」の意味・わかりやすい解説

トウモロコシ

トウキビとも。南米アンデス山麓原産のイネ科の一年草。高さ2〜3mで茎は太く円筒形。7〜8月茎の先端に雄花穂,中ほどに多くの場合1個の雌花穂をつける。雌花は絹糸状の長い花柱を出し,受精後,萎縮(いしゅく)褐変する。成熟した種実の色は白,黄〜赤,赤褐,濃褐,暗紫など種々あり,中央がくぼんだ歯形や球形のものが多い。品種は馬歯(デントコーン),硬粒(フリントコーン),軟粒,甘味(スイートコーン),爆裂(ポップコーン),もちなどに大別。一般に温暖適雨の地を好む。種実はデンプンを多量に含み,甘味種は未熟種子を生食とするほか,乾燥種子は製粉してコーンフレークス,コーンミール,パンや菓子の原料とする。しかしトウモロコシは食用作物というよりむしろ飼料作物としてきわめて重要であり,濃厚飼料として利用されるほか,青刈飼料として全世界的に栽培される。世界の畜産を支える作物ともいえる。胚からはトウモロコシ油(コーンオイル)がとれ食用,油脂工業用とする。米国,中国,ブラジル,メキシコなどが主産地。
→関連項目飼料作物リンカン(アメリカ)

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「トウモロコシ」の解説

トウモロコシ

イネ科の一年草。メソアメリカで前3千年紀までに栽培種として成立し,主要食料となった。アンデス地方には前2千年紀までに伝播し,南に向かって広がったが,食料としてよりも祭祀用のチチャ酒の原料として重要だった。コロンブスがこれをヨーロッパに伝え,主として家畜の飼料として用いられた。16~17世紀にはアフリカの重要な食料源となった。ポルトガル人がアジアに伝え,日本にも16世紀後半に到着した。

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栄養・生化学辞典 「トウモロコシ」の解説

トウモロコシ

 [Zea mays].トウキビともいう.カヤツリグサ目イネ科トウモロコシ属の一年草.種実を食料,飼料にし,葉や茎を飼料にする.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のトウモロコシの言及

【アメリカ】より

…ここでは,一般に,標高約1000mまでは高温地帯(ティエラ・カリエンテ)で,熱帯植物で覆われる。その上方,標高約2300mまでは温暖地帯(ティエラ・テンプラダ)で,コーヒーなどの栽培に適し,さらに上方,標高約3300mまでは冷涼地帯(ティエラ・フリア)で,低い所は広葉樹林帯,高い所は低木帯や草原に移行し,小麦,トウモロコシ,ジャガイモなどが栽培される。さらに上方の標高約4300mまでは寒冷地帯(プーナ)と呼ばれ,大麦,ジャガイモが植えられる。…

【米】より

…また,清酒はもとより,焼酎,みりん,米酢,みそなどの醸造加工にも米は重要な原料となっている。【菅原 竜幸】
【世界の米生産と輸出動向】
 米は,小麦,トウモロコシとならぶ世界でもっとも重要な穀物だが,世界の米の生産のほとんどは,第2次大戦前も今も,米を主食にしているアジアの国々で生産されている。世界の米総生産量は戦前(1934‐38平均)約1億5000万tで,その95%が日本を含むアジアの国々によって生産されていたし,5億5000万tと大幅に増加した今日(1995)も,その90%は依然としてアジアの諸国が生産している(数字はもみ重量,以下も同じ)。…

【栽培植物】より

… いろいろな栽培植物のうちでも,もっとも初期に栽培化されたものは穀類やいも類であろう。ムギ,イネ,トウモロコシなどのイネ科穀類の栽培は,一定の時期に土地を耕し,種子をまき,一定の時期に収穫するという1年を通しての農業活動が要請されるので,人間の生活様式は急速に定着化していくことになった。しかし,栄養繁殖を主とするいも類などを主要作物とした農耕が起源した地域では,穀類栽培にみられるような播種(はしゆ)期や収穫期が厳密に規制されておらず,またいも類は穀類にくらべ長期間貯蔵することはむずかしいものが多いので,人間の定着化はきわめてゆるやかに起こったものであろう。…

【農耕文化】より

…主作物のキャッサバには有毒のものが多いため,水さらしによって毒を抜く特殊な技法が広くみられるが,それを除けばこの農耕文化は,旧大陸のそれとよく類似した特色を示している。 またアンデス山地においては,ジャガイモのほかにオカ,ウルコ,アヌウなど数種のいも類が栽培化されたが,それらは斜面に無数につくられた階段状耕地で栽培され,とくにトウモロコシの栽培上限を越した高地で食料として重要な機能を果たしてきた。いずれも冷凍乾燥法によって毒抜きと貯蔵を行っているが,これらのアンデス高地におけるいも栽培の起源については,南アメリカ東部低地に展開した根栽農耕の高地適応とみる見方もあるが,くわしいことはわかっていない。…

※「トウモロコシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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