ナイキスト(英語表記)Harry Nyquist

改訂新版 世界大百科事典 「ナイキスト」の意味・わかりやすい解説

ナイキスト
Harry Nyquist
生没年:1889-1976

スウェーデンに生まれ,アメリカで活躍した電気通信工学者。1907年にアメリカに渡り,ノース・ダコタ大学を卒業,17年にイェール大学物理学博士号を取得した。アメリカ電話電信会社に入り,同社の研究部門がベル電話研究所に移されるとともに同研究所へ移籍した。高速度電信を研究し,チャンネル帯域幅と電信の速度について〈ナイキスト間隔Nyquist interval〉の概念を28年に得た。この概念は,符号化,復号化における標本化定理につながるものである。ナイキストは変調方式についても研究し,残留側波帯変調を発明した。また,熱雑音を研究し,その平均2乗が抵抗値と周波数帯域幅に比例することを明らかにした。フィードバック増幅器の安定性を判断するために〈ナイキストの判定条件〉と呼ばれる理論を32年につくり上げた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のナイキストの言及

【安定性】より

… フィードバック制御系では,制御対象が本来漸近安定であっても,フィードバックを行うことによってシステムが不安定になることがある。したがって,フィードバック制御系の設計には安定性のチェックが不可欠であるが,それには1932年ナイキストH.Nyquistによって作図に基づく簡便な方法が示されている。しかし,ディジタル制御方式が普及しつつある今日では,ナイキストの安定判別法よりもむしろ古典的なラウスの安定判別法が有力になりつつある。…

※「ナイキスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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