ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナルメル」の意味・わかりやすい解説
ナルメル
Narmer
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…王国の最終的統一以前にも〈さそり〉王など下エジプトを征服した上エジプト王がいたことはゲルゼ文化末期の奉納用大型化粧板の浮彫などから知られており,ゲルゼ文化のデルタへの浸透はこの過程に対応すると考えられる(〈原王朝〉)。メネスが当時の王名のどれを指すのか論争があるが,下エジプト征服を刻む有名な化粧板の奉納者ナルメルNarmer王よりも,メンフィスの墓地サッカラに最初の王墓を建造した次のアハAha王と見るべきであろう。ティニスからメンフィスへの王都移転は,王国統一に協力した上エジプト有力首長の影響力からの離脱と下エジプトの確保とを目指しており,州知事を通じて州単位の灌漑水路網を整備し,レバノン杉の輸入など対外交易を独占しつつ王権の強化と中央集権化が進められた。…
…これらの中には,王が牡牛やライオンの姿で表され,彼に従う種族を示すハヤブサやサソリなどが敵を倒すありさまや,ヌビア人やリビア人との戦勝を記念し,それらの国々から戦利品として得た牛やロバ等を描いたものもみられる。特に第1王朝ナルメルNarmer王のパレットは,その精巧な浮彫とナルメル王による上エジプトの征服の記録で有名である。一方,書記の筆記具の一つとしての木製のパレット(筆入れの一種)もみられる。…
…ヘロドトスの《歴史》ではミンMinと記され,上・下エジプトの境界近くに統一国家の新都〈白い壁〉(のちのメンフィス)を建設し,上流に築いた堤防で河流を変え,増水の害から町を守ったとされる。同時代史料のどの王にあたるかについては論争があり,古くは有名な化粧板(パレット)に下エジプトの征服者として現れるナルメルNarmer王とする説が有力であったが,近年ではメンフィスの墓地サッカラに最初の大王墓を造営した次王アハAhaとする説がヘロドトスの伝承に合致するとして有力である。また建国に功績のあった複数の王が1人の王に伝説化したとの説もある。…
※「ナルメル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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