日本大百科全書(ニッポニカ) 「メネス」の意味・わかりやすい解説
メネス
めねす
Menes
生没年不詳。古代エジプトを初めて統一した王(前3000ころ在位。異説あり)。ナルメルNarmerという名の王と同一人とみられる。ナルメルの名は有名な「ナルメルのパレット」に、メネスの名はアビドスの王名表とトリノのパピルスに記されている。統一事業は上(かみ)エジプトのサソリ王によって開始され、デルタ地帯の近くまでが統一された。たぶんメネス王はその後継者として即位した。上エジプトのティス(アビドス付近に比定される)に都を置く彼は、下(しも)エジプトを全面的に征服し(その模様は「ナルメルのパレット」に図示されている)、全エジプトを統一した。また、下エジプトの統治拠点としてデルタ地帯の南端に第二王都「白い城」を築いた。これはのちに古代エジプトの首都メンフィスとなった。
[酒井傳六]