メネス(読み)めねす(英語表記)Menes

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メネス」の意味・わかりやすい解説

メネス
めねす
Menes

生没年不詳。古代エジプトを初めて統一した王(前3000ころ在位。異説あり)。ナルメルNarmerという名の王と同一人とみられる。ナルメルの名は有名な「ナルメルのパレット」に、メネスの名はアビドスの王名表とトリノのパピルスに記されている。統一事業は上(かみ)エジプトのサソリ王によって開始され、デルタ地帯の近くまでが統一された。たぶんメネス王はその後継者として即位した。上エジプトのティス(アビドス付近に比定される)に都を置く彼は、下(しも)エジプトを全面的に征服し(その模様は「ナルメルのパレット」に図示されている)、全エジプトを統一した。また、下エジプトの統治拠点としてデルタ地帯の南端に第二王都「白い城」を築いた。これはのちに古代エジプトの首都メンフィスとなった。

[酒井傳六]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メネス」の意味・わかりやすい解説

メネス
Mēnēs; Mena

古代エジプトを初めて統一し,第1王朝 (前 3100頃~前 2890頃) を創始したといわれる王。メナとも呼ばれる。上エジプトのティニスの出身。まず上エジプトを統一し,下エジプトとの何回かの戦いのあと,ナイルデルタからアスワンにいたるナイル川流域を征服,メンフィスに都を置いた。この王朝の王や多くの高官はメンフィスの墓地サッカラに埋葬されたが,メネスの王墓は未発見である。しかし最古の文字と統一を物語る浮彫のあるヒエラコンポリス出土のパレットで有名なナルメル王と同一視する意見が強い。王の出身地ティニスの部族神が鷹神ホルスであるところから,後世エジプトのファラオ (王) はホルスの子孫であるといわれるようになった。

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