穂高岳(読み)ほたかだけ

精選版 日本国語大辞典 「穂高岳」の意味・読み・例文・類語

ほたか‐だけ【穂高岳】

長野県岐阜県との県境にある山峰群。奥穂高岳(三一九〇メートル)を最高峰とし、西穂高岳(二九〇九メートル)・北穂高岳(三一〇六メートル)・涸沢岳(三一一〇メートル)と前穂高岳(三〇九〇メートル)の総称。飛騨山脈の南部にあり、氷食地形による鋸歯(きょし)状の山稜と裸岩斜面の険しい山容で知られる。中部山岳国立公園の一部。

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デジタル大辞泉 「穂高岳」の意味・読み・例文・類語

ほたか‐だけ【穂高岳】

長野・岐阜県境にある高山群。飛騨山脈の最高峰、奥穂高岳3190メートルをはじめ、北穂高岳3100メートル、涸沢からさわ岳3103メートル、前穂高岳3090メートル、西穂高岳2909メートルが連なる。

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日本歴史地名大系 「穂高岳」の解説

穂高岳
ほたかだけ

おく穂高岳(三一九〇メートル)・西穂高岳・前穂高岳・明神みようじん岳・涸沢からさわ岳・北穂高岳の諸峰によって構成され、角閃(輝石安山岩)から成っている。その名の示しているように北アルプス中の最高峰で、その形状は波の穂のごとくそびえ立っており、塩尻しおじり市方面から遠望することができ、殊に上高地かみこうちからの眺望は絶景である。

正保年間(一六四四―四八)に作成された国絵図では、保高岳とされている。享保九年(一七二四)の「信府統記」によれば、「此岳ハ往古ヨリ穂高大明神ノ山ト云伝ヘテ此名アリ、嶮山ニシテ登ルコト能ハズ、麓ニ大明神ノ御手洗みたらしトテあら池ト云フアリ、広サ三四町四方程ノ池ニテ深サ測リ難ク、いわなト云フ魚多クアリ、杣人筏ニ乗テ是ヲ釣ル、此外梓川ヨリ西ノ方ニ山岳多シト雖モ深山ニテ往来ナケレバ山名モ知レズ」とある。

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改訂新版 世界大百科事典 「穂高岳」の意味・わかりやすい解説

穂高岳 (ほたかだけ)

長野・岐阜県境にあり,飛驒山脈の主峰をなす山。H字形の平面形をもつ連峰群で,西側の南北方向に伸びる尾根が主脈であり,最高峰の奥穂高岳(3190m)はこの主脈から東へ尾根が分岐する地点にある。奥穂高岳から北へは,穂高岳山荘のある白出(しらだし)の鞍部を経て涸沢(からさわ)岳(唐沢岳。3110m),北穂高岳(3106m)と続き,大キレットの鞍部を隔てて槍ヶ岳連峰の南岳に至る。また南へは,ジャンダルム,ロバの耳などの岩峰が続き,高度を減じながら西穂高岳(2909m),西穂山荘を経て焼岳に達する。奥穂高岳から東へ伸びる尾根は,緩やかなたるみを見せる吊尾根と呼ばれるもので,東側の南北方向の尾根との交点に前穂高岳(3090m)がそびえている。前穂高岳の南には明神岳(2931m)がある。

 山体はおもにヒン岩と呼ばれる硬い岩石で構成され,断層によって西側の蒲田(がまだ)川,東側の梓川に激しく落ち込む急斜面ができ,それを氷河が浸食して緩く広いU字谷やカールが形成された。とくに東側斜面の涸沢カールは日本最大のスケールをもつ。

 氷食谷には,イタドリコバイケイソウなどの植生や,ベニヒカゲなどの高山チョウが見られ,谷奥に広がるカール底には,湿性のチングルマハクサンコザクラ,中性のクロユリクルマユリ,ヨツバシオガマ,ミヤマキンポウゲなどの高山植物が咲き乱れ,ライチョウも生息する。その上に鋭くそびえ立つ岩壁には,登山者たちが多くのルートを開いた。山頂に至る一般的なルートとしては,上高地から横尾,涸沢経由で奥穂高に達するもの,河童(かつぱ)橋から岳(だけ)沢経由で前穂高岳近くの吊尾根に至るもの,岐阜県側の新穂高温泉から白出沢経由で穂高岳山荘に達するもの,同じく新穂高温泉からロープウェー(1970完成)で西穂高口に至り,そこから西穂山荘に登るものなどがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「穂高岳」の意味・わかりやすい解説

穂高岳
ほたかだけ

長野・岐阜県境にあり、北アルプス南部の中心をなす山。穂高連峰ともいう。北アルプス最高峰の奥穂高岳(3190メートル)を中心に南北に連なる北穂高岳(3106メートル)、涸沢(からさわ)岳(3110メートル)、奥穂高岳、前穂高岳(3090メートル)、西穂高岳(2909メートル)の総称。『延喜式(えんぎしき)』(927成立)に記載の穂高神社は松本盆地の安曇野(あづみの)市にあるが、西方に北アルプスの山々を望む位置にあり、おそらく古代は北アルプス全体を穂高とよんだものと考えられる。奥穂高岳の東側には、北穂高、前穂高に囲まれた氷食地形の涸沢カールがあり、穂高岳登山の基地として夏はカラフルなテント村が現出する。涸沢から奥穂高、北穂高を経て北方の槍ヶ岳(やりがたけ)(3180メートル)への縦走路は北アルプスの代表的なコースで、途中に大キレットの難所がある。また、北穂高岳の西側の滝谷(たきたに)は垂直に近い岩壁をなし、ロッククライミングで知られる。井上靖(やすし)の小説『氷壁』は、実際に前穂高岳で起きた遭難事故から着想を得て書かれた。穂高岳への初登山は1880年(明治13)にイギリス人の技師ガウランドWilliam Gouland(1842―1922)によるもので、日本人としては1905年(明治38)に鵜殿正雄(うどのまさお)が前穂高の登頂に成功。その後1970年代後半までには、より困難なルートすら冬期登攀がほとんど完了し、人気の高い山域であったことが分かる。岐阜県側の新穂高温泉から西穂高岳中腹の千石平(せんごくだいら)(2156メートル)へはロープウェーが通じ、ここから西穂山頂へは約4時間で達することができる。

[小林寛義]


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百科事典マイペディア 「穂高岳」の意味・わかりやすい解説

穂高岳【ほたかだけ】

長野・岐阜県境をなす飛騨山脈の南部にある山群。江戸時代の正保国絵図では保高岳とみえる。奥穂高岳(最高峰,3190m)と,その北の涸沢(からさわ)岳(3110m),北穂高岳(3106m),南東の前穂高岳(3090m),南西の西穂高岳(2909m)をいう。ヒン岩からなり,鋸歯(きょし)状山稜と裸岩斜面の多い高山地形を示し,東斜面には圏谷が並ぶ。前穂高の東壁と屏風(びょうぶ)岩,北穂高の滝谷などは日本の代表的な岩場として有名。上高地などから登山路がある。中部山岳国立公園に属する。
→関連項目ジャンダルム日本百名山飛騨山脈松本[市]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「穂高岳」の意味・わかりやすい解説

穂高岳
ほたかだけ

長野・岐阜県境,飛騨山脈 (北アルプス) の中央部にある山。最高峰は奥穂高岳 (3190m) 。ほかに北穂高岳 (3106m) ,前穂高岳 (3090m) ,西穂高岳 (2909m) ,涸沢岳 (3110m) などの諸峰があり,これらを総称して穂高岳と呼ぶ。飛騨山脈中でも最高峰である。山体は角閃ひん岩,閃雲花崗岩などから成り,全体に壮年期の険峻な山容を示す。奥穂高岳から涸沢岳を経て槍ヶ岳に向うコースは飛騨山脈の代表的な縦走路で,北穂高岳の北方には大キレットがある。奥穂高,北穂高,前穂高に囲まれた涸沢は典型的なカールで,夏は登山根拠地となる。南麓の上高地は高原観光保養地として知られる。中部山岳国立公園に属する。

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事典・日本の観光資源 「穂高岳」の解説

穂高岳

(長野県・岐阜県)
日本百名山」指定の観光名所。

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