日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニホントカゲ」の意味・わかりやすい解説
ニホントカゲ
にほんとかげ / 蜥蜴
石竜子
skink
[学] Eumeces latiscutatus
爬虫(はちゅう)綱有鱗(ゆうりん)目スキンク科のトカゲ。北海道、本州、四国、九州および大隅諸島(おおすみしょとう)などの離島に分布する。全長20~25センチメートル、その約5分の3を占める尾は自切し再生する。胴は円筒形で、成熟個体ではやや扁平(へんぺい)となり、頭部も幅広くなる。体鱗は滑らかで瓦(かわら)を並べたように重なり、各鱗には皮骨板があって堅い。体鱗は胴の中央部で平均26列。幼体の背面は黒地に5本の黄白色縦条が走り、尾部は鮮やかな青色で光沢がある。背面は成長に伴い茶褐色となって縦条が薄れ、体側の幅広い黒帯のみが残り、尾の青色が消失する。海岸付近から山地までの草地、山道、堤から庭先まで普通にみられる。石垣や崖(がけ)に穴を掘ってすみかとし、行動は敏捷(びんしょう)である。日なたと日陰との間を移動することで体温調節を行う。餌(えさ)は昆虫、クモ、ミミズなどである。初夏に5~16個を産卵し雌が保護する。日本産のトカゲ類では、先島(さきしま)諸島産で同じスジトカゲ属のキシノウエトカゲE. kishinouyeiが最大で、全長20~39センチメートルに達する。
[松井孝爾]