出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
鹿児島県大隅半島から大隅海峡を隔てた海上に散在する島々。屋久島(やくしま)、種子島(たねがしま)、口永良部島(くちのえらぶじま)、馬毛島(まげしま)の4島からなる。付近には竹島、硫黄島(いおうじま)、黒島、草垣群島があるが、草垣群島を除く3島を一般に口之三島(くちのみしま)とよび、大隅諸島には加えない。行政区として屋久島と口永良部島を屋久島町、種子島の北部と馬毛島を西之表(にしのおもて)市、中部を中種子町、南部を南種子町と区分している。屋久島の面積は504.88平方キロメートル、最高点は宮之浦岳(みやのうらだけ)の1936メートルで九州全体の最高点でもある。この島の基盤は熊毛(くまげ)層群とよばれる中生代の堆積岩で、その上を第三紀の花崗岩(かこうがん)類が覆い、これが高い山体を形成している。ここは日本の最多雨域の一つでもあり、この島で生育した樹齢1000年以上のスギをヤクスギ(屋久杉)とよび、よく知られている。屋久島がほぼ円形であるのに対し、種子島は細長く、面積444.99平方キロメートルとやや狭い。最高点も282メートルで地形は平坦(へいたん)で起伏の小さい島である。基盤は屋久島と同じで、その上を2枚の新第三紀の堆積岩類が覆う。古くはポルトガル人による鉄砲伝来(1543)の島として、近年は大隅半島内之浦(うちのうら)(肝付(きもつき)町)と並び宇宙ロケット発射基地の島として知られる。口永良部島は活火山島である。各島の平地は亜熱帯性の気候を示し、ガジュマルが茂り、ハイビスカスが咲く。本諸島近海は初夏のトビウオ漁が盛んである。
[塚田公彦]
鹿児島県南部にある薩南諸島北部の島々。西之表市および熊毛郡に属する種子島,馬毛(まげ)島,屋久島,口永良部(くちのえらぶ)島の4島をいい,普通は口之三島と呼ばれる竹島,硫黄島,黒島を加えない。南西諸島で一般に見られるように東西3列の地質・地形的配列をなす。東の種子島と馬毛島は第三紀層よりなる低平な島,中央列の屋久島は古期岩石よりなり,九州一の高峰八重岳(宮之浦岳。1936m)をもつ高峻な島で,最西列の口永良部島は火山島である。気候は奄美諸島ほどではないがかなり温暖で,アコウ,ガジュマルなどが茂り,農作物の中心はサトウキビである。漁業では近海のカツオ漁業が盛んだったが最近は衰え,ただ初夏のトビウオ漁は現在も盛んである。本土からの船便はかつては鹿児島~屋久島~種子島~鹿児島の循環とその逆のコースがあったが,鹿児島港から西之表(種子島)と宮之浦(屋久島)へそれぞれ別々の航路となった。現在は両島を経由する便もある。両島間および屋久島~口永良部間は屋久島町営の小型の船が運行される。各島に空港があり,鹿児島から30~40分であるが,種子島と屋久島間は小型機が半チャーター的に航行しているだけである。一部は霧島屋久国立公園に属している。
執筆者:服部 信彦
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…内列は北部の黒島,硫黄島,竹島の3島と南の吐噶喇(とから)列島であるが,屋久島の西方にある口永良部島とともに火山島である。北部の種子島,屋久島は口永良部とともに熊毛郡に属し,大隅諸島ともいう。黒島,硫黄島,竹島の3島は第2次大戦前は吐噶喇列島とともに十島(じつとう)村を形成していたが,戦後北緯30゜以南の吐噶喇列島はアメリカの軍政下に入った。…
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