日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ノース・カロライナ州立大学
のーすかろらいなしゅうりつだいがく
North Carolina State University
アメリカ合衆国ノース・カロライナ州の州都ローリーにある州立総合大学。正式名称は、North Carolina State University at Raleigh。ノース・カロライナ州の4年制州立大学全16校から構成される「ノース・カロライナ大学システム(ノース・カロライナ大学)the University of North Carolina」の1校である。
1887年、ノース・カロライナ州議会総会によって国有地交付大学land-grant collegeとしての創設が認められ、ノースカロライナ農工大学North Carolina College of Agriculture and Mechanic Artsと名づけられた。国有地交付大学とは、1862年の国有地交付大学法(モリル法)に基づき、連邦政府が払い下げた国有地の売却益をもとにして州政府が設置した農学教育や工学教育を行う大学のことである。同大学では一般的な国有地交付大学と同様、農学や工学教育の振興を目的としたが、かといって古典的な教養教育を排除するわけでもなく、創設以来「教養教育と実学教育」を重視し続けてきた。その後、数回の名称変更を経て、1965年に現在の大学名となった。
2006年現在、学生数3万3130名、専任教員数1652名を擁し、州内でも最大規模の大学となっている。10学部にわたって、数学、物理学、経済学、政策科学、教育学、歴史学などを含め、102種の学士号、108種の修士号、60種の博士号を授与している。なかでも、伝統的に農学、工学、繊維学、デザインの分野のレベルは非常に高く、産学官の連携においても特筆に値する。ノース・カロライナ州立大学、ノース・カロライナ大学チャペルヒル校University of North Carolina at Chapel Hill、デューク大学Duke Universityの三つに囲まれたトライアングル状の地域は「リサーチ・トライアングル・パークResearch Triangle Park」とよばれ、多くの企業が進出しているハイテク拠点である。「トライアングル」とは産学官の連携の促進をも意味しているが、これら三者の連携による地域産業の高度化は、スタンフォード大学を中心としたシリコンバレーに追随する例の一つとして、世界的にも注目を浴びている。
[杉谷祐美子]