国の所有権の認められる土地。国有地の観念は,土地について所有権が認められることのほか,国も土地所有権の主体となりうることを前提として成り立つ。日本における土地の所有権の制度は,1872年(明治5)の太政官布告50号によって確立した。国を土地所有権の主体とする法的構成については,73年の太政官布告〈地所名称区別〉が官有地の観念を用い,90年には〈官有地取扱規則〉が定められたが,これと同時に定められた〈官有財産管理規則〉は〈国ノ所有ニ属スル〉土地等を官有財産とした。国有・国有地の観念は,97年の〈北海道国有未開地処分法〉にまずみられるが,99年には〈国有林野法〉〈国有土地森林原野下戻(したもどし)法〉などが定められ,また〈河川敷ノ公用ヲ廃シタル土地ノ処分ニ関スル件〉(勅令)は,廃河川敷の扱いとの関係で,国有地の観念を用いている。さらに,旧国有財産法が制定されたのは1921年であり,国有の不動産などが国有財産とされた。
国有地は国有財産であり,国有財産法などの適用をうける。国有地は,土地のもつ特性のゆえに,その取扱いには多くの問題があるが,国有地に関する独自の法律は存在しない。国有財産法上最も大きな比重を占めている国有財産は,国有地であろう。道路などの公共施設の建設のために必要な土地は,任意買収によるほか,土地収用などの方法で取得され,国有地となることがある。なお,公有地の場合とは異なり,法制度上,国有地拡大の推進策はとられていない。
なお,1981年3月現在,国が国有財産として管理している土地は,国土面積の約1/4を占めている(1982年版《国土利用白書》)。
→入会(いりあい) →国有林
執筆者:芝池 義一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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